ドイツ政府 EUエンジン車禁止に「待った」かける CO2ニュートラルな合成燃料の免除要請
公開 : 2023.03.01 06:25
合成燃料にはまだ課題も
しかし、eフューエルが2035年以降も使用を許可されるかは、まだ疑問の余地がある。前述の通り、ポルシェのeフューエルは現状「ほぼCO2ニュートラル」であり、フランク・ワライザー氏によればガソリン車と比較してCO2排出量を85%削減できる程度だという。
EUが2035年にエンジン車の新車販売を事実上禁止するのは、2050年までに完全なカーボンニュートラルを実現するという目標に向けたものであり、現状のままではeフューエルの規制回避は難しいだろう。しかし、地球温暖化防止という目標をクリアしながら、エンジン車の使用寿命を延長することは可能だ。
英国政府は以前、2030年にエンジン車の新車販売を禁止すると発表していたが、先月、農業・工業で使われる軽油の代替となるeフューエルの研究プロジェクトに3250万ポンド(約54億円)の助成金を出すと発表している。
エネルギー・気候を担当するグラハム・スチュアート大臣は「今回の資金援助は、産業の脱炭素化を加速させ、産業界と消費者に軽油に代わる効果的な低炭素燃料を提供すると同時に、英国産業の回復力を将来にわたって支えるためのグリーン投資を後押しするものである」と述べた。
また、EUが少量生産車メーカーに禁止措置の延期や免除を設けるなど、柔軟な姿勢を見せている点にも注目すべきだろう。年間生産台数が1万台未満のメーカーは2035年末まで免除され、年間生産台数1000台未満のメーカーは恒久的に免除される。