日産エクストレイル 詳細データテスト 動力性能と操縦性には満足 静粛性と低速での乗り心地は要改善

公開 : 2023.03.04 20:25  更新 : 2023.04.04 00:19

結論 ★★★★★★★★☆☆

キャシュカイエクストレイルも、派手ではないが役に立つクルマとして、まずまずの成功を収めてきたといえる。新型エクストレイルは、リラックスしてフラストレーションなしに時を過ごせるクルマだ。

これは念入りにレイアウトされた操縦系と、ドライバーに特別な運転を求めないが、必要とあれば驚くほどのパフォーマンスを発揮するパワートレインのおかげだといえる。ふたつのセグメント股にかけるSUVとしては、室内のスペースや万能性もライバルに太刀打ちできるレベルだ。ただし、ミニバス並みの7人乗り空間は期待できない。

結論:有能なオールラウンダー。日常使いを苦もなくこなしてくれる。
結論:有能なオールラウンダー。日常使いを苦もなくこなしてくれる。    MAX EDLESTON

賢明なe−パワーのコンセプトは、実際に使ってみてもじつにうれしくなるものだ。しかし同時に、新型エクストレイルにおける最大の懸案でもある。というのも、経済性に関しては期待値に達していないからだ。

ほかに批判するべき点を挙げるなら、乗り心地だ。速度が上がればゆったり乗っていられるが、荒れた舗装では苦戦し、ロードノイズも思いのほか大きい。

そうはいっても、乗り心地も経済性も競合モデルたちとの勝負にならないほど劣っているわけではない。価格帯も、ライバルたちとそう違わない。ファミリーカーとして考えるのであれば、大きな不満がないエクストレイルの出来栄えは、まずまず優秀と言っていいだろう。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

電気モーター駆動は、スロットルペダルを踏み込むたびに力強い加速を感じられるのが魅力的だ。とはいえ、高速道路の速度域に入ると、ホンダのダイレクトドライブほどの経済性は得られなくなる。

マット・ソーンダース

牽引をしたいなら、最大2000kgを許容する5座マイルドハイブリッドを選ぶのがベストだ。ただし、e−パワーの4WDも1800kgと悪くはない。7座モデルは牽引重量がやや目減りし、e−パワーの前輪駆動モデルは670kgまで減少する。

オプション追加のアドバイス

中間グレードのN−コネクタからは、インフォテインメントシステムがグレードアップするので、それ以上を選びたい。テクナならシートヒーターや40:20:40分割可倒式2列目シート、フルスペックのプロパイロット、ヘッドアップディスプレイなどが加わる。シート生地がレザレットになってしまうのは、好き嫌いが別れるところではありそうだが。

改善してほしいポイント

・パワートレインはもっと経済性を高めてほしい。
・乗り心地を改善し、速度が高いときの静粛性を向上してもらいたい。
・マトリックスLEDヘッドライトは改良が必要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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