維持費に耐える価値はある メルセデス・ベンツGクラス(W463型) 英国版中古車ガイド 

公開 : 2023.03.23 08:25

上質な車内やエンジンの印象とは異なる走り

実際の走りは、ラグジュアリーな車内や洗練されたパワートレインの印象とは若干異なる。特に乗り心地と操縦性は、同時期のメルセデス・ベンツの水準には届いていないといっていい。

ステアリングホイールは重く、反応が正確とはいいにくい。コーナーへ侵入すれば、小さくないボディロールが待っている。

メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)

悩みのタネになりそうなのが、小さくない維持費。メンテナンス・コストが高いだけでなく、燃費も良好とはいえない。AMG仕様では、ガソリンはハイオク前提になる。真のアイコンを我が物にするうえで、避けられない試練といえる。

近年は特に注目を集める高級オフローダーの、元祖の1台といえるメルセデス・ベンツGクラス。W463型の登場から30年以上が経過しているが、今でも人気は高く、熱心なファンも少なくない。深く考えず、1度飛び込んでみるのも悪くはないだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

新しいフルタイム四輪駆動システムと、W124譲りの洗練された3.0Lエンジン、アンチロックブレーキなどを獲得し、能力の高さは間違いない。装備もレンジローバーに匹敵するほど充実している。

フルタイム四輪駆動が叶えるグリップ力や安心感の高さで、一般道での訴求力も高いオフローダーだ。(1991年2月6日)

メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

アフマド・カシャウィ氏

「存在感はかなり強いですよね。AMGのような高性能仕様では、アクセルペダルへ触れると、シートへ背中が食い込む勢いで加速します」

メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)

「1度走り出せば、とても快適に移動できます。ボディサイズは大きいですが、箱型ということもあって市街地でも扱いやすいと思いますよ」

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

走行中に不自然な振動が出る場合は、プロペラシャフトの寿命が原因かもしれない。交換には、英国では1500ポンド(約24万円)ほど必要になる。

サスペンション

オフロードを許容する重いボディを支えるコイルスプリングは、ヒビが入ることがある。特に冬場は硬くなり割れやすいが、大きな音が出るため気が付くだろう。

エンジン

メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(W463型/1990〜2018年/英国仕様)

12万kmから24万kmと幅が広いが、一部のエンジンではクランクシャフト・センサーの交換が必要になる。燃費が極端に悪い場合や、エンジンの調子が優れない場合は、これが原因の1つ。

ブレーキ

車重が重いため、ブレーキの減りも早い。事前にパッドとディスクの厚みを確かめたい。

ボディ

悪条件でも構わず乗られることが多いため、Gクラスは比較的錆びやすい。ホイールアーチやバンパーの裏側など、細部まで良く確かめたい。広範囲に錆びていると、修理費用も高くなる。

インテリア

オフローダーだから内装は汚れがち。シートカバーは想像するより簡単に張り直せる。天井の内張りがたるんでいる場合は、過度に水が車内へ侵入したことが原因かもしれない。

電気系統

ヒーターや車内灯などの電気系統は、比較的故障しやすい。事前に一通り機能するか確かめたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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