維持費に耐える価値はある メルセデス・ベンツGクラス(W463型) 英国版中古車ガイド
公開 : 2023.03.23 08:25
上質な車内やエンジンの印象とは異なる走り
実際の走りは、ラグジュアリーな車内や洗練されたパワートレインの印象とは若干異なる。特に乗り心地と操縦性は、同時期のメルセデス・ベンツの水準には届いていないといっていい。
ステアリングホイールは重く、反応が正確とはいいにくい。コーナーへ侵入すれば、小さくないボディロールが待っている。
悩みのタネになりそうなのが、小さくない維持費。メンテナンス・コストが高いだけでなく、燃費も良好とはいえない。AMG仕様では、ガソリンはハイオク前提になる。真のアイコンを我が物にするうえで、避けられない試練といえる。
近年は特に注目を集める高級オフローダーの、元祖の1台といえるメルセデス・ベンツGクラス。W463型の登場から30年以上が経過しているが、今でも人気は高く、熱心なファンも少なくない。深く考えず、1度飛び込んでみるのも悪くはないだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
新しいフルタイム四輪駆動システムと、W124譲りの洗練された3.0Lエンジン、アンチロックブレーキなどを獲得し、能力の高さは間違いない。装備もレンジローバーに匹敵するほど充実している。
フルタイム四輪駆動が叶えるグリップ力や安心感の高さで、一般道での訴求力も高いオフローダーだ。(1991年2月6日)
オーナーの意見を聞いてみる
アフマド・カシャウィ氏
「存在感はかなり強いですよね。AMGのような高性能仕様では、アクセルペダルへ触れると、シートへ背中が食い込む勢いで加速します」
「1度走り出せば、とても快適に移動できます。ボディサイズは大きいですが、箱型ということもあって市街地でも扱いやすいと思いますよ」
購入時に気をつけたいポイント
トランスミッション
走行中に不自然な振動が出る場合は、プロペラシャフトの寿命が原因かもしれない。交換には、英国では1500ポンド(約24万円)ほど必要になる。
サスペンション
オフロードを許容する重いボディを支えるコイルスプリングは、ヒビが入ることがある。特に冬場は硬くなり割れやすいが、大きな音が出るため気が付くだろう。
エンジン
12万kmから24万kmと幅が広いが、一部のエンジンではクランクシャフト・センサーの交換が必要になる。燃費が極端に悪い場合や、エンジンの調子が優れない場合は、これが原因の1つ。
ブレーキ
車重が重いため、ブレーキの減りも早い。事前にパッドとディスクの厚みを確かめたい。
ボディ
悪条件でも構わず乗られることが多いため、Gクラスは比較的錆びやすい。ホイールアーチやバンパーの裏側など、細部まで良く確かめたい。広範囲に錆びていると、修理費用も高くなる。
インテリア
オフローダーだから内装は汚れがち。シートカバーは想像するより簡単に張り直せる。天井の内張りがたるんでいる場合は、過度に水が車内へ侵入したことが原因かもしれない。
電気系統
ヒーターや車内灯などの電気系統は、比較的故障しやすい。事前に一通り機能するか確かめたい。