フォルクスワーゲン 世界最大級のGTIミーティング「ヴェルターゼー」開催へ 本国ドイツで継承

公開 : 2023.03.02 18:05

オーストリアで長年開催されてきたGTIのオーナーズミーティング「ヴェルターゼー」廃止を受け、フォルクスワーゲンはドイツ・ヴォルフスブルクで後継イベントを開催すると発表しました。ファンにとっては朗報と言えます。

廃止イベントをVWが引き継ぎ ドイツで開催予定

フォルクスワーゲンは、本拠地ヴォルフスブルクで「GTI」のファンに向けた新たなイベントを開催すると発表した。

先日、オーストリアのヴェルター湖で毎年開催されていたフォルクスワーゲンGTIのオーナーズ・ミーティング、通称「ヴェルターゼー(Worthersee)」が現地の自治体の要請により廃止されることが決まった。フォルクスワーゲンはこれを受け、41年の歴史を持つこのミーティングを「未来へ」引き継ぐとしている。

「ヴェルターゼー」は世界最大級のGTIオーナーズミーティングとして知られる。
「ヴェルターゼー」は世界最大級のGTIオーナーズミーティングとして知られる。

同社のセールス&マーケティング担当役員であるイメルダ・ラベ氏は、「GTIファンの存在はフォルクスワーゲンにとって非常に重要であり、だからこそ彼らとの交流はとても大切なものなのです」と述べている。

「ヴェルター湖でのGTIミーティングが残念ながら中止となったことを受け、当社はヴォルフスブルクのGTIファンコミュニティに新しいホームを提供することを決定しました。このイベントはファンのためのものであるべきなので、ファンの皆様のアイデアも取り入れたいと考えています」

新しい公式イベントの開催時期は未定だが、フォルクスワーゲンはヴェルターゼーを継続するためのものであるとしている。

ヴェルターゼーは世界的に有名なGTIのオーナーズミーティングであり、これまでステージショーや新型車のプレゼンテーションにも使われてきた。フォルクスワーゲンは今後、「GTIファンのための多くの興味深いイベントやサプライズ」を実施していくと述べた。

環境への負担に地元住民から反発

これまでのヴェルターゼーは、毎年初夏になると数多くのカスタムカーが集まる大規模なイベントであった。フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのファンのメッカとして、1982年に初めて開催された。

2006年からはフォルクスワーゲンが公式スポンサーとなった。同社はこれまで、TロックR、ゴルフ GTI、ID.R などの新型車やコンセプトカーを披露しており、今年は新型EV「ID.2 GTI」のコンセプトモデルが展示されるのではないかという噂もあった。

各地からカスタマイズカーなどが集結するが、しばしば来場者のマナーの悪さが問題視されていたようだ。
各地からカスタマイズカーなどが集結するが、しばしば来場者のマナーの悪さが問題視されていたようだ。

しかし、イベント主催者は「長年にわたる参加者の大幅な増加は、当コミュニティとヴェルターゼー地域全体の成長と回復力の限界に達しています」と話す。

「気候変動の影響、生態系保全に対する政治的意思決定者の責任、持続可能性の原則に従ってあらゆるレベルの行動を整合させる必要性から、将来の設計を新しい前提の下に置くことが求められています」

主催者はまた、イベントに対する世間の好感度が下がり、「批判が増え、受け入れられなくなった」とも述べている。

イベントは4日間にわたって開催され、設立当初の参加者はわずか100人程度だったが、ピーク時には20万人を集めるまでに成長した。

ドイツ紙シュピーゲルの報道によると、2022年はパンデミックの影響で開催が中止されたにもかかわらず、約5000台の車両が非公式に現地に乗り付けたため、オーストリア警察は3700件の取り締まりを行い、500枚以上のナンバープレートを押収したという。

イベントが永久的に廃止されたかどうかは不明だが、マリア・ヴェルトの自治体は同地域の持続可能性のレベルを高めるために、今後数年間は大規模な自動車イベントを開催しないとしている。マルクス・ペルダラー市長は次のように述べた。

「今後もわたし達のコミュニティで行われるイベントの提案やアイデアを喜んで検討しますが、それらがわたし達の考える社会的・生態的適合性にどの程度まで合致し、高い持続可能性基準を満たしているかを評価します」

「このことを念頭に置いて、わたし達はモビリティ産業と対話を続けていきます。モビリティ産業は、わたし達コミュニティと同様に、エコロジーと持続可能性に向けた大きな変化を考慮しなければなりません」

記事に関わった人々

  • ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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