燃料電池車に光 英国のインフラ整備で水素復権へ スタートアップに期待集まる

公開 : 2023.03.02 20:05

水素はどこから得るのか?

Element 2は、化学大手のイネオスと水素供給契約を結んでいる。イングランド北西部マージーサイドにあるイネオスのランコーン工場では、塩化ナトリウム(塩)の水溶液を電気分解するクロル・アルカリ工程から水素を副産物として得ている。

炭化水素を使用しないため、純度99.97%の水素を製造できるという。高純度の水素は、燃料電池内の触媒の損傷を防ぐために不可欠だ。

Element 2は英国の化学大手イネオスと水素供給で提携している。
Element 2は英国の化学大手イネオスと水素供給で提携している。

クロル・アルカリ事業者を代表する業界団体Eurochlorによると、欧州での年間生産量は27万トンで、これは欧州の総水素生産量の約35%に相当する。

作られた水素の約45%が燃料に、45%が化学処理に使用され、残りの10%が廃棄物となる。

Eurochlorは、この水素は「低カーボン・フットプリント」であり、1kgあたり0.2~0.55kgのCO2換算で、化石燃料ベースの工程による水素よりも90%低いと説明している。

また、水素が「エネルギーの媒介物」として市場に出回ることで、現在需要がなく無駄になっている10~15%の生産量を商業的に利用できるようになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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