テスラ、新型EV公開せず 技術革新でコスト削減 年内にサイバートラック量産へ

公開 : 2023.03.03 06:05

テスラは投資家向けイベントで今後の戦略を発表しました。期待された新型車の情報は伏せられましたが、新しい生産方式や次世代プラットフォームによって価格低減を実現するとしています。

新型車はまだ「秘密」 サイバートラック量産開始

テスラは3月1日(現地時間)の投資家向けイベントで、新しい生産方式と技術革新により、生産効率を大幅に向上させる戦略を発表した。

「マスタープラン(基本計画)3」と名付けられた戦略プレゼンテーションの中で、CEOのイーロン・マスクを始めとするテスラ経営陣は、電気モーター技術の進歩から新しい自動車生産方式まで、今後の発展について幅広い最新情報を披露した。

次世代プラットフォームではコストダウンを実現できるという。
次世代プラットフォームではコストダウンを実現できるという。    テスラ

このプレゼンテーションには大きな期待が集まっていた。長らく延期されてきたサイバートラックやロードスターの量産開始、将来の生産施設、新しい生産工程、そして次世代EVプラットフォームについて明らかにされるものと予想されていた。

また、人気の高いモデル3よりも小型で安価な新型EVを導入する計画もあり、その情報公開も期待された。

しかし、新型車の詳細はほとんど伏せられており、技術部門の責任者であるラース・モラビー氏は、生産性向上の恩恵を受けるのは「モデルYではない」と発言するまでにとどまった。

デザイン責任者フランツ・フォン・ホルツハウゼン氏もまた、新型車の詳細は「後日」明らかになるだろうと述べた。

しかし、両氏はサイバートラックが今年後半に量産に入ることを認めた。サイバートラックの開発時に検討された新しい生産方式により、工場面積を40%削減し、最大50%のコスト削減と遅延リスクの大幅な低減が可能になるという。

テスラは、各工程で必要な作業を最小限に抑えることを目指す。例えば、シートは床下のバッテリーパックに直接取り付けられ、その後ユニット全体が部分的に塗装されたボディシェルに組み合わされるため、ドアの取り外しや再装着が不要になる。

こうした技術革新は、2019年の発売以来、モデル3の展開を妨げてきた生産遅れに対応するものだ。モラビー氏は「生産地獄に陥った」と語り、今日確立された大量生産プロセスはかのヘンリー・フォードが開拓したものに基づいており、「100年続いた生産プロセスを変えるのは難しい」と説明した。

新型車は基本的に「必要なことだけを行う」ことを中心に据えている。つまり、ラインを進む過程で、車両や部品の不必要な移動・分解を避けるということだ。

車両レベルでは、バッテリーとモーター技術の改良により炭化ケイ素が75%削減され、次世代EVプラットフォームはあらゆる化学組成のバッテリーを使用できるようになる。パワートレイン責任者コリン・キャンベル氏は、次世代のモーターにはレアアース(希土類金属)を一切使用しないと語った。

テスラは、このプラットフォームによって、1台あたりの生産コストを約1000ドル(約13万円)削減できると予測している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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