V60を60mmリフトアップ ボルボV60 クロスカントリーへ試乗 SUVに負けない魅力

公開 : 2023.03.18 08:25

長距離移動を前提とした快適性と実用性

試乗車だったアルティメット・グレードの場合は、ソフトな肌触りのレザーシートが標準装備。座り心地も良く、フロントシートは調整域も広い。

シートと同じ風合いのレザーは、内装パネルにも惜しみなく用いられる。随所に散りばめられたメタリックなトリムが、プレミアム感を醸し出す。

ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)
ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)

ドライビング体験も褒められる。低めの視点としっくり来る運転姿勢で、全高の嵩むSUVにはない訴求力を備えている。

ただし、ボディサイズは少々大きめ。全長は4784mm、全幅が1893mmあり、都市部の入り組んだ道では少々扱いにくく感じるかもしれない。全長は、4708mmのXC60より約80mmも長い。

また、電動パワーステアリングの感触は蛋白。フロントにコイルスプリング、リアにコンポジット素材のリーフスプリングを採用したサスペンションはソフト傾向で、クルマとの一体感が高いわけではない。

日常的な速度域では快適に動できるが、郊外のカーブが続く道で、ドライバーのやる気を引き出すタイプではないだろう。BMW 5シリーズのように。

V60 クロスカントリーが目指すところは、そんな走りではない。長距離移動を前提とした、快適性と実用性に重きが置かれている。

1886kgのボディを悠々と進める250ps

2.0L 4気筒ガソリンターボは、250psを発生。トランスミッションは8速オートマティックが組まれる。マイルド・ハイブリッドで、1800rpmから35.6kg-mの最大トルクを発揮する。高速道路では悠々と1886kgのボディを進め、変速も殆ど目立たない。

0-100km/h加速を6.9秒でこなし、郊外の道や交差点でのダッシュ力に不満は感じないはず。8速ATは、頻繁にキックダウンしようとする癖があるようだ。

ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)
ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(欧州仕様)

V60 クロスカントリーは、ドライビングを心から楽しめるステーションワゴンではないが、スタイリッシュで、安楽に家族や友人とともに目的地を目指せる。しかもボルボは、運転支援システムなどの安全性にも力を入れている。

英国価格は4万8440ポンド(約779万円)から。試乗車のアルティメット・グレードでは5万3960ポンド(約868万円)となり、同クラスのメルセデス・ベンツGLCアウディQ5と良い勝負といえる。

多くのユーザーは、車高の高いSUVを選ぶだろう。しかし実際に運転すれば、沢山の魅力へ気が付ける。キャンプ道具やレジャー・アイテムを満載して、海岸や山岳を目指したくなるに違いない。

ボルボV60 クロスカントリー・アルティメットB5 AWD(英国仕様)のスペック

英国価格:5万3960ポンド(約868万円)
全長:4784mm
全幅:1850mm
全高:1504mm
最高速度:228km/h
0-100km/h加速:6.9秒
燃費:12.6km/L
CO2排出量:168g/km
車両重量:1886kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps/5400rpm(システム総合)
最大トルク:35.6kg-m/1800-4800rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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