全方位で進化 メルセデス・ベンツ、新型GLCクーペ 3月発表予定 プロトタイプ試乗

公開 : 2023.03.03 18:05

成熟したダイナミック特性 全方位進化

プラットフォームは、最新のCクラスと共通するモジュラー・リア・アーキテクチャ(MRA)のさらなる発展版である。足回りはGLC SUVと同様に、標準装備のスチールスプリングまたはオプションのエアスプリングと、常時可変のアダプティブ・ダンピング・コントロールを組み合わせた新開発のサスペンションが採用されている。

最も大きな変更点は、後輪操舵システムの採用である。GLCで初めて採用されたこのシステムは、最大4.5度の舵角を持つ。「ステアリングは以前よりもダイレクトになりました。後輪操舵が加わったことで、旋回半径がより小さくなりました。そのため、市街地走行での操作性が向上しています。しかし、同時に、オープンロードでの俊敏性も向上しています」とコルブ氏は言う。今のところは、彼の言葉を信じるしかないだろう。しかし、助手席から見た限りでは、かなりレスポンスがよくて小回りが効くという印象を受けた。

メルセデス・ベンツの新型GLCクーペ(プロトタイプ)
メルセデス・ベンツの新型GLCクーペ(プロトタイプ)    AUTOCAR

新型GLCクーペのハンドリングと全体的なダイナミック特性には、成熟した雰囲気がある。コーナリング中のボディロールも、加速時・ブレーキング時のピッチやダイブも、うまくコントロールされている。この点では先代モデルよりも進化しているように感じられ、調和のとれた構成となっている。

オプションのエアサスペンションを装着すると、乗り心地も劇的に洗練される。プロトタイプに装着されていた225/45 R20(フロント)、285/40 R20(リア)のオプションタイヤでも、小さな段差に対するショックの吸収性は高く、高周波のロードノイズの遮断性も以前より向上している。

コルブ氏は、プラットフォーム剛性の向上とアダプティブ・ダンピング・コントロールの即応性によって、全体的な乗り心地が明らかに改善されたと評価しており、それが新型車の開発における要点であったと話す。

また、トランスミッショントンネルに採用されたビチューメン(瀝青)系の新素材も、低振動・低騒音の要因の1つだ。

メルセデス・ベンツがいかに真剣にエンジニアリングに取り組んでいるかは、オプションのオフロード・パッケージにも表れている。このパッケージには360度カメラが含まれ、フロント下の地形をインフォテインメント・ディスプレイ内の「トランスペアレント・ボンネット」という機能でライブ表示することができる。

オプションのトレーラー・マヌーバリング・アシストもアップデートされ、最大90度の角度で操作できるようになり、狭い場所でのトレーラー駐車が以前より簡単にできるようになったという。

新型GLCクーペについてはまだ多くのことが分かっていないが、開発の最終段階のプロトタイプに一足先に乗ってみたところ、あらゆる重要な部分が改良されていることがわかった。

よりシャープなスタイリング、より効率的なドライブトレイン、よりハイグレードなインテリア、最新の運転支援システムが、俊敏なハンドリング、優れた乗り心地、内燃機関の洗練性と相まって、幅広い魅力を築き上げている。販売面での成功はまだまだ続きそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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