スーパーなM5から堅実なディーゼルまで BMW 5シリーズ(G30型) 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.03.14 08:25

昇華される見事な能力 BMW 5シリーズ(G30型) 英国版中古車ガイド 推しは530e

2.0L直4から4.4L V8まで多彩なエンジン

構成される部品単体の合計より、組み合わされた完成体の能力が遥かに優れる例が存在する。G30型のBMW 5シリーズは、間違いなくその1つへ数えられる。

もちろん部品ひとつひとつの完成度も高いが、それらがBMWの工場で組み立てられると、見事な仕上がりへ昇華される。それは中古車でも変わらない。むしろ、新車よりお手頃という点で勝るかもしれない。

BMW 5シリーズ 520d(G30型/フェイスリフト前/英国仕様)
BMW 5シリーズ 520d(G30型/フェイスリフト前/英国仕様)

パワートレインの選択肢は多彩。英国仕様の場合、ガソリンターボでは520iの2.0L 直列4気筒や540iの3.0L直列6気筒のほか、ツインターボになる4.4L V8のM550iまで選べ、プラグイン・ハイブリッドは530eの他に、2021年以降は545eも投入された。

もしスーパーカー級の動力性能を求めるなら、標準で600ps、コンペティションなら625ps、CSでは635psを発揮する、4.4L V8ツインターボのM5もある。もちろん、お高いが。

ディーゼルターボでは、英国のベストセラーとなっているのが2.0L 4気筒の520d。一段パワフルな3.0L 6気筒の530dもある。

2021年以降は、すべての4気筒と6気筒エンジンへ電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドが組み合わされている。トランスミッションは共通して8速オートマティック。一部のモデルには、xドライブと呼ばれる四輪駆動も設定される。

コーナリングも高速巡航も得意分野

英国の場合、トリムグレードはSEとMスポーツの2種類。ベースグレードのSEでも、ヒーター付きレザーシートにデュアルゾーン・エアコン、LEDヘッドライトなど、装備に不足はまったくない。

Mスポーツを選ぶとホイールが大径になり、見た目とサスペンションがスポーツ仕様になる。とはいえ、どちらを選んでもクラストップのドライビング体験を堪能できる。

BMW 5シリーズ 520d(G30型/フェイスリフト前/英国仕様)
BMW 5シリーズ 520d(G30型/フェイスリフト前/英国仕様)

520iや530iが搭載するベーシックな2.0L 4気筒でも洗練されており、3.0L 6気筒の540iや4.4L V8の550iでは圧倒されるほどのパワフルさを披露する。ディーゼルターボも質感に優れ、520dでも力不足は感じないだろう。

プラグイン・ハイブリッドの530eは運転が楽しく、速さは充分以上。静かで滑らかに先を急げる。545eは、更に余裕が生まれる。

正確なステアリングとバランスに長けたシャシーが叶える、シャープなコーナリングは5シリーズが得意とするところ。風切り音やロードノイズは小さく、高速巡航の能力にも長けている。

SEグレードはサスペンションがしなやかで、アルミホイールがMスポーツほど大きくなく、乗り心地は穏やか。ただし、負荷が高まると若干落ち着きを失う場合はある。乗り心地を優先するなら、アダプティブダンパーを備えた例が望ましい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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