家族の楽しさ広がるSUV 10選 激戦区の欧州で鍛え抜かれた万能ファミリーカー

公開 : 2023.03.11 18:05

2. ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ

ディスカバリー・スポーツ(Discovery Sport)はランドローバーのエントリーモデルだが、ブランドのトレードマークである走破性、快適性、魅力に不足はない。その分、本稿の中ではかなり高価な部類に入るのだが。

現行世代のディスカバリー・スポーツは、レンジローバー・イヴォークと同じPTAプラットフォームを採用しているが、先代モデルの特徴を失ってはいない。他の車種よりも乗り心地が良く、視界も良好だ。ランドローバーらしく、それなりのオフロードを走破することも可能である。それでいて、正確なステアリング、優れたボディコントロール、驚くほどの俊敏性など、ハンドリングも驚くほど整然としている。

2. ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ
2. ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ

実用的なインテリアには、7つのシートが用意されている。質感は高く、最新のインフォテインメント・システム「Pivi Pro」を搭載しているため、レンジローバーの上級モデルにも似た雰囲気がある。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンには48Vマイルドハイブリッド・システムが搭載されているが、PHEVのP300eは特に洗練され、ガソリンと電気の統合がうまくできているため、ラインナップの中で際立っている。しかし、55kmというEV航続距離はもはやクラストップレベルではなく(欧州の税制面でもやや不利)、モーターとバッテリーを搭載する必要があるためPHEVには7人乗りのオプションはない。

クラス平均を上回る多用途性とオフロードでの堅牢性を備えたファミリー向けSUVを求めるなら、ディスカバリー・スポーツはほとんど妥協がない。そして、今もなお、「4×4 by far(最高の4WD)」の謳い文句に偽りのない1台である。

3. ヒョンデ・サンタフェ

この10年あまりの間に、ヒョンデはコストパフォーマンスの高い低価格車ブランドから、ハイエンド車を扱えるプレミアムプレーヤーへと目まぐるしい進化を遂げた。にわかには信じがたいが、サンタフェ(Santa Fe)をざっと見て回るだけで、その進歩を理解することができるだろう。個性的なルックス、広々とした高級感のあるキャビンに加え、ディーゼル、フルハイブリッド、PHEVといった豊富なパワートレインを備えている。

サンタフェの魅力の鍵は、高い質感と広々としたスペースが融合したインテリアにある。多くのライバル車とは異なり、3列目のシートには大人が座れるスペースがあり、乗降も簡単だ。トランクスペースは5人乗りで571L、2列目と3列目をすべて畳むと1649Lになる。数々の高級素材、豊富な標準装備、充実したインフォテインメントなど、仕上がりも上々である。

3. ヒョンデ・サンタフェ
3. ヒョンデ・サンタフェ

走りは楽しいというほどではないが、ステアリングは軽く正確で、これほど背が高く重いクルマでありながら、驚くほど冷静にコーナリングをこなす。ゆっくり走っているときの動作が一番良いが、家族向けのクルマであることを考えればそれも悪くない。比較的ソフトなサスペンションは、本当に難しい路面では少し不安定になるが、それ以外ではリラックスできるコンパニオンである。長距離の旅に出るのと同じように、街中をうろうろするのも楽しいものだ。

2.2Lディーゼルは、古典的ながらも牽引や長距離走行に適した筋肉質なユニットであるため、イチオシのパワートレインだ。

プラグイン充電と「セルフチャージング」機能付きの1.6LガソリンベースのPHEVもある。最高出力265ps、EV航続距離は58km(つまり税制面ではやや不利)とされている。

確かに、サンタフェより楽しいクルマは他にもたくさんあるが、家族の生活にシームレスにフィットする点で、ヒョンデは一歩勝っている。そして、多くのライバル車と比較しても、お値段以上の広さと装備を手に入れることができる。コストパフォーマンスは未だに健在だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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