家族の楽しさ広がるSUV 10選 激戦区の欧州で鍛え抜かれた万能ファミリーカー
公開 : 2023.03.11 18:05
8. アウディQ5
アウディQ5のような上品で完璧に近いオールラウンダーは、欠点を挙げるのが難しいのだが、やや無機質なハンドリングが走り好きのドライバーにはいまいち響かない。しかし、この欠点も販売を妨げるものではない。Q5は、ほぼすべての国でクラストップのセールスを誇っている。
高価ではあるが、実用的かつ魅力的なクルマであり、卓越した走行性能と仕上がりを持つ。また、実用性はあまりなくてもいいから、もう少しスタイルを重視したいという方には、クーペスタイルのQ5スポーツバックも用意されている。
2020年に大型のフェイスリフトを受けており、燃費効率を高めたマイルドハイブリッド・システムや新しい車載システムが導入されたほか、フロントグリルのデザインも改められた。
売れ筋のQ5 40 TDIは、この改良で14psのパワーアップを果たし、洗練された快適性、パフォーマンス、運転しやすさを兼ね備えたファミリーカーとなっている。2.0LガソリンエンジンのQ5 45 TFSIも、パンチのあるモデルだ。4気筒以上を求めるなら、V6ディーゼルのSQ5が唯一の選択肢となる。
PHEVのQ5 50 TFSIeは、電気モーターと2.0Lターボガソリン4気筒の組み合わせで、300psをわずかに下回るパワーを発生し、特にスムーズな走りを見せる。しかし、電気のみの航続距離が63kmであるため、欧州では社用車としての税制上のメリットが少ない。
9. セアト・タラッコ
タラッコ(Tarraco)は、スペインの自動車メーカーであるセアトが初めて挑戦したフルサイズSUVであり、かなりイカしたクルマである。フォルクスワーゲン・グループの傘下にあるため、スコダ・コディアックとほぼすべてのコンポーネントを共有している。しかし、兄弟車とは異なり、タラッコは全車7人乗りを標準としている。
同サイズのSUVに比べ、走りの切れ味がよく、機敏に感じられるが、このシャープなハンドリングはローリングの快適性を犠牲にしているようだ。本来なら、この類のクルマでは、快適性と洗練性がもっと重視されるべきではないだろうか。とはいえ、不快に感じる場面は少ないし、これまで家族向けの実用性のために楽しさを犠牲にしてきたドライバーにとっては、むしろ歓迎されることだろう。
スコダ・コディアックと同じフォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームをベースにしているため、兄弟車と同様に足を引っ張られるところがある。最大の欠点は、電動化パワートレインの設定が事実上存在しないことだ。一般的なファミリーユースでは大きな問題にならないが、欧州における社用車の需要を考えると、PHEVが選べないのはミステイクだろう。
しかし、インテリアはよく仕上がっており、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンも非常に洗練され、かなり経済的でもある。価格設定も競争力のあるものだ。