ハリー・ポッターでは飛んだ フォード・アングリア 105E 英国版クラシック・ガイド 後編
公開 : 2023.03.25 07:06 更新 : 2023.04.04 11:05
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
アングリア 105Eの天敵はサビ。ヘッドライト付近を中心とするフロントフェンダー全般、リアフェンダー、サイドシルなどが弱点。他にもインナーフェンダーはストラットマウント付近、エンジンルームのバルクヘッドやバッテリートレイも弱い。
Aピラーにジャッキアップ・ポイント、フロアパン、リア・サスペンションのスプリングマウント、シャシーレール、荷室のフロア、バンパーの裏にあるバランスパネル、トランクリッドなども錆びがち。丁寧に状態を観察したい。ボディトリムは入手が難しい。
シャシー番号は、右側のストラットマウント部分に刻印されている。腐食しやすい場所で、既にパネルごと交換されている例も多い。
モディファイ
これまでのオーナーによって、改造されている例も少なくない。エンジンやトランスミッション、シャシー、ブレーキなどの仕様を調べ、年式に合うものか、作業が適切かなどを確かめる。
エンジン
オーバースクエア形状の997ccユニットは語り継がれるほど堅牢。軽量・高剛性のチューブラー・クランクシャフトは、当時としては画期的な装備だった。
エンジン自体の仕様を確認し、異音やオイル漏れ、クーラント漏れがないか調べる。キャブレターが劣化すると、始動性や滑らかさに影響を与える。内部摩耗の状態や、安定して回転するかもチェックポイント。
トランスミッション
変速時にギアの回転数を調整するシンクロメッシュの状態は、滑らかに変速できるかで確認できる。クラッチペダルを操作し、ベアリングノイズが出ていないか、聞き耳を立てる。試乗で、走行中にギアが抜けないかも確かめたい。
サスペンションとステアリング、ブレーキ
ステアリングラックの摩耗、ダンパーからのオイル漏れ、ブレーキの固着、ブッシュ類の劣化などがチェックポイント。
インテリア
ビニールの内装は破れやすい。一部のスイッチ類やダッシュボード・パネルを除いて、内装トリムの多くは、英国なら新しい部品が入手可能。ドアトリムやカーペットなどは、専門業者が交換キットを提供している。シートも再生が可能だ。
フォード・アングリア 105Eのまとめ
現存するフォード・アングリア 105Eのほぼすべてが、過去に1度はレストアを受けていると考えていい。購入時は今後の費用を踏まえ、可能な限り状態の良い1台を探したい。
クラシックカーとなった今では、グレードによって価格差は生じない。スタンダードかデラックス、スーパーのどれを選ぶかは、好みで決めて良いだろう。オリジナル状態か、改造を受けた状態かでも、価格に大きな違いはないようだ。
高価な例ほど、状態は良いことが一般的。ラリーイベントへ参加可能な仕上がりのアングリア 105Eも、探せば発見できる。
良いトコロ
英国では特に人気が高く、広く愛されているコンパクトなサルーン。実用的なクラシックカーとして、所有する喜びがある。近年は価値も安定しており、オーナーズクラブのサポート体制も手厚い。スペアパーツも英国では比較的入手しやすい。
良くないトコロ
腐食がひどい場合は復活が難しい。大幅に改造された例も、避けた方が良いだろう。感じ方は人それぞれだが、ハリー・ポッター・ファンだと思われることも。
フォード・アングリア(105E/1959〜1967年/英国仕様)のスペック
英国価格:514〜598ポンド(1963年時)
生産台数:100万4737台(105E)/7万9223台(123E)
全長:3900-3920mm
全幅:1460mm
全高:1422-1473mm
最高速度:119-132km/h
0-97km/h加速:31.7〜21.6秒
燃費:10.6-15.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:738-853kg
パワートレイン:直列4気筒997/1198cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:39ps/5000rpm-49ps/4800rpm
最大トルク:7.3kg-m/2700rpm-8.7kg-m/2700rpm
ギアボックス:4速マニュアル