トヨタ・ハイラックス 詳細データテスト オンよりオフの走りで本領発揮 乗り心地には改善の余地あり
公開 : 2023.03.11 20:25 更新 : 2023.04.03 23:17
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
8代目ハイラックスのデビューは2016年なので、GRスポーツ仕様ではあっても、今回のテスト車は目新しいものではない。2020年のマイナーチェンジではスタイリングをリフレッシュしたほか、装備の拡充や、既存の2.4Lユニットより強力な2.8L直4ターボディーゼルの追加などが実施された。
この2.8Lユニットが、ハイラックスGRスポーツには積まれている。最高出力は204ps、最大トルクは51.0kg-mで、V8を積むアメリカンピックアップを求めるようなユーザー層に訴求できるほどではない。
それでも、2.4L仕様のハイラックスに対し、0-100km/h加速で2秒は速く、ディーゼル車の先代レンジャー・ラプターにもわずかながら勝っている。とはいえ、ウェイトは2125kg。トンあたり100psを切るのだから、スプリントで他を圧倒するようなクルマとは言えない。
GRスポーツのトランスミッションは、6速のトルクコンバーターATのみ。駆動系は二駆/四駆切り替え式で、ローレンジのトランスファーとリアのロッキングデフを備える。
エンジン同様、シャシーも走りを楽しむ物件というより、仕事のツールという性格が色濃い。ベース車と同じボディ・オン・フレーム構造で、リアサスペンションはライブアクスルとリーフスプリングの組み合わせだ。
このコンビネーションは、きついオフロードでの高い路面追従性と、1t級の積載重量を可能にする。いっぽうで、ベース車から大幅に改修されたレンジャー・ラプターのような、オンでもオフでも洗練された走りは期待できない。
それでも、GRスポーツの足回りは、ノーマル車と大きく違っている。フロントのコイルスプリングはハードになり、ステアリングのシャープなレスポンスと、やや抑えの効いたボディコントロールを生む。さらに、ダンパーは前後ともグレードアップしたモノチューブ式で、タイヤはノーマル車が舗装路向きなのに対して、ゴツい見た目のオールテレインタイプであるブリヂストン・デュエラーを履く。