トヨタ・ハイラックス 詳細データテスト オンよりオフの走りで本領発揮 乗り心地には改善の余地あり

公開 : 2023.03.11 20:25  更新 : 2023.04.03 23:17

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

ハイラックスの下位グレードにはシングルキャブとエクストラキャブ、ふたつのボディスタイルがある。エクストラキャブは、他社ではキングキャブとも呼ばれる、前席の背後に荷室スペースが用意されたタイプだ。

ただし、GRスポーツをはじめとする上位グレードは、ダブルキャブのみの設定。これは、後席を備える4ドアだ。リアシートは大人でもほぼ不満なく使えるが、スペース的には大型SUVより中型セダンに近い。

質実剛健のピックアップとスポーティな装いのミスマッチ感は否めない。体格によっては、ステアリングコラムのテレスコピック調整が不足するかもしれない。
質実剛健のピックアップとスポーティな装いのミスマッチ感は否めない。体格によっては、ステアリングコラムのテレスコピック調整が不足するかもしれない。    LUC LACEY

その後方にあるのは、1.5m近い長さの荷台で、オープンタイプのほか、上面をハードトップで覆ったタイプも選べる。テスト車のようなオープンタイプには、黒いスポーツバーが標準装備される。

シングルキャブとより長い荷台の組み合わせがほしいという声もありそうだが、乗用としての日常使い用途で販売されているピックアップは、ほぼすべてがダブルキャブというのが現状だ。積載量より、4人もしくは5人乗れることを重視するオーナーがほとんどだということだろう。

走り志向の雰囲気を高めているのが、専用表皮のスポーツシートだ。レザーとアルカンターラのコンビで、GRロゴが刺繍されている。乗降性、快適性、ともにいい。

ほかにも、いかにもスポーツグレードというアイテムが目につく。金属調スポーツペダル、ステアリングホイールやサイドシルのGRエンブレムなど。ただ、シフトレバー後方のバッジは後付け感が拭えず、悪目立ちしている。

耐久性や機能性、シンプルさを追求してデザインされたインテリアを、こういう風にドレスアップするのは奇妙に思える。そして、その結果もしっくりこない感じがする。

ダッシュボードでは、赤いアクセントの入ったグロスカーボントリムが、プレーンで質実剛健を地で行くようなモールディングから浮いてしまっている。上面に突き出しているJBLプレミアムサウンドシステムのスピーカーも、なんとも不恰好だ。

すくなくとも、主要な操縦系のエルゴノミクスは適切だ。長身のドライバーには、ステアリングコラムのテレスコピック量がもっとほしいところだが、たいていのひとは快適なドライビングポジションを取れるはずだ。

グローブボックスは上下2段式で、アームレスト下の小物入れもなかなかのサイズ。ドアポケットも使いやすく、室内のストレージは豊富だ。視界は全方位とも良好だが、さらにサラウンドビューカメラがついている。5.3mもの全長に苦戦しがちな駐車時にはありがたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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