日産、電動車のコスト削減へ 新たな生産プロセス発表 EVとeパワー車で主要部品共有
公開 : 2023.03.09 18:05
日産は電動パワートレインの生産効率化により、2026年までにeパワー車とICE車の価格を同等にすると発表しました。「X-in-1」と呼ばれる新しい生産プロセスでコストを30%削減するとのことです。
効率的な生産プロセス エンジン車と同等の価格へ
日産は、2026年までに電動車の価格を従来のエンジン車と同等にすることを目指している。電動パワートレイン開発において、より安価で効率的な新しいアプローチを試みている。
日産はパワートレイン生産プロセスを刷新し、EVとハイブリッドシステム「eパワー」の主要部品を共有し、モジュール化する。これにより、2026年までにeパワー車のコストを2019年比で30%削減するとしている。
今回発表された開発プロセスには2つの系統があり、EVではモーター、インバーター、減速機を1つのシステムにまとめた「3-in-1」を、eパワー車ではこれに発電機と増速機を追加した「5-in-1」を採用する。
この新システムにより、電動パワートレインの主要部品が同じ生産ラインを流れるようになる。
eパワーとは、エンジンを発電機として搭載し、電気モーターで車輪を駆動するというハイブリッドシステムで、従来のマイルドハイブリッドなどとは仕組みが異なり、よりEVに近い走りを実現するとされている。
日産は現在、リーフやアリア、サクラといったEVのほか、エクストレイルやノートなどのeパワー車を販売している。これらの電気駆動ユニットの生産を効率化することで、2026年頃までにeパワー車と純エンジン車の価格を同等にすることを目指す。
欧州ではEV、eパワー車と並んでマイルドハイブリッド車も販売されている。英国向けのキャシュカイは、アセンタ・プレミアムというグレードのeパワー車で3万3875ポンド(約550万円)からとなっているのに対し、同じグレードのマイルドハイブリッド車が2万9530ポンド(約480万円)から。エクストレイルは、標準的なマイルドハイブリッド車の3万4075ポンド(約550万円)に対して、eパワー車が3万5865ポンド(約580万円)からとなっている。
日産は、こうした価格差を今後3年間で解消する可能性を示唆しているが、それが非eパワー車の価格上昇を伴ったものであるかどうかは明らかではない。
また、EVをより安価で高機能なものにするため、主にエネルギー密度の高いバッテリー技術を採用すると表明している。さらに、騒音や振動を抑え、パワートレインの小型化、軽量化を実現するという。電気モーターにおけるレアアース(重希土類)の使用率を1%以下に抑える計画も明らかにされた。
そして、日産は2030年度までに19車種のEVを含む27車種の電動車を導入する予定だ。
日産のパワートレイン開発を統括する専務執行役員の平井俊弘氏は、次のように述べている。
「日産の電動化技術の開発や生産のノウハウが最大限活かされています。今後も電動車両だからこそ実現できる新たな価値を創造し、より多くのお客様にEVやeパワーを通じて『e-4ORCE』や『e-Pedal』に代表される100%モーター駆動ならではの魅力をお届けしていきます」