運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か
公開 : 2023.03.19 18:05
2. アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ
これまで数多のV6エンジンを人々の脳裏に焼き付けてきたアルファ・ロメオの中で、4気筒エンジンは見過ごされがちな存在である。加えて、洗練されたキャビンや調整可能な電子制御スタビリティコントロールと相まって、ジュリア・ヴェローチェがスポーツセダンとして認識されないこともしばしば。しかし、ハンドリングのバランス、鋭敏さ、そしてオールラウンドな能力という点で、傑出した存在であることは間違いないだろう。
比類なきダイナミクスと超ダイレクトなステアリングを持つシャシーは、このクルマを実用的な5シーターというよりも、時にはスポーツカーのように感じさせる。また、グリップレベルのバランスも実に素晴らしく、それを最大限に生かすことができるスタビリティコントロールシステムも美点である。ヴェローチェにはリミテッド・スリップ・ディファレンシャルが装備されているが、残念ながら、電子制御を完全に解除できるのは最上級グレードのクアドリフォリオだけだ。
ターボチャージャー付き2.0Lガソリンエンジンは、280psという健康的なパワーを発揮し、4気筒ターボとしてはかなり心地よいサウンドと回転数を持っている。ただ残念なのは、このシャシーが持つ価値とはズレているということだ。他の点では、ジュリア・ヴェローチェは素晴らしいの一言に尽きる。特に、4万6000ポンド(約755万円)をわずかに超える価格と、2023年のフェイスリフトで外観が改められ、車載システムやインテリアの仕上がりが向上することも嬉しいポイントである。
3. メルセデスAMG C 43
メルセデスAMG C 43は、我々に高性能4気筒エンジン搭載のCクラスというものを初めて見せてくれた。トップエンドにはPHEVのC 63が控えているが、こちらは今のところ生ぬるい歓迎を受けている。C 43は、筋肉質なC 63とは異なり、高圧電力を使用せず、ターボチャージャー付き(コンプレッサーは電気モーターでアシストされ、ラグを減らす)の2.0Lエンジンを搭載し、48Vマイルドハイブリッド・システムとリンクしている。その結果、最高出力408ps、最大トルク51kg-mを発揮し、旧型のV6エンジン搭載車に勝るとも劣らない数値となった。
予想通り、先代のような特徴的なサウンドに欠けるものの、4気筒はスムーズかつ熱心にパワーを生み出し、0-100km/h加速は4.6秒と決して遅くない。コーナーではバシッと姿勢を決めて軽快に走り、ダイレクトで重みのあるステアリング、強力なグリップ、優れたボディコントロールが感じられる。しかし、四輪駆動システム「4マティック」では31:69の前後トルク配分を約束しているにもかかわらず、BMW M340iのようなリア偏向のフィールはなく、よりニュートラルなスタンスを好み、限界領域ではアンダーステアに陥る。
それ以外の点はすべて、Cクラスそのものである。つまり、快適で美しい仕上げのキャビン(テック的にはやや過剰だが)、一流のクルージング・リファインを備えているのだ。しかし、アダプティブ・ダンパーを一番ソフトに設定しても、乗り心地は硬いままだ。また、BMWのライバルよりも1万ポンド以上高い価格設定もネックになっている。