運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か
公開 : 2023.03.19 18:05
8. アウディS4
アウディが2019年に、爽やかな「S」モデルの多くをガソリンからディーゼルに切り替え始めたのは、特にここ数年のディーゼルゲートの影響を考えると、大胆な決断だったと言えるだろう。これは、自動車業界のエンジニアや意思決定者たちが、スポーツセダンのスピードとドライバビリティ、そして効率性と洗練性の両方を求める人たちにとって、ディーゼルエンジンに勝るものはない、という考えをいまだに受け入れているという重要なサインでもある。
そして、アウディS4には大きなディーゼルエンジンが搭載されることになった。具体的には、ターボチャージャー付き3.0L V6ディーゼルエンジンに、48Vマイルドハイブリッド・システムと電気駆動ターボを追加し、最高出力340psと最大トルク71.4kg-mを発生する。
ローンチコントロールシステムとクワトロシステムの助けを得て、0-100km/h加速4.8秒という数値を叩き出す。そこから8速ATのギア比を活かして高速で駆け抜け、あまり意識させることなくスピードを積み上げていく。
クイックな走りが得意で、安定感も高いのだが、その運転体験は特に刺激的で豊かなものというわけではない。V6の音は印象に残らないし、ハンドリングが生き生きとしてくるのは、ハードなドライビングをしようとしたときだけだ。とはいえ、クイックに、控えめに、そして驚くほどの低燃費で走りたいなら、S4は一見の価値がある。
9. ジャガーXF P300 Rダイナミック
ジャガーのスポーツカーブランドとしての評価が、大排気量で後輪駆動のスポーツセダンによって築かれてきたことを考えると、スムーズな多気筒エンジンとFRの純粋さを求めるジャガーファンにとって、現代の選択肢がいかに乏しくなったかは驚きである。実際、XEもXFも、もはやそのような組み合わせを提案することは不可能になっている。
現在、クイックかつ有能なジャガーセダンは、最高出力300psの2.0Lターボと8速AT、四輪駆動システムの組み合わせに限られている。後輪駆動の場合は250psまでパワーが落ち、スポーツセダンの中では少し弱気な部類に入る。XEとXFはどちらも高出力仕様が用意されているが、編集部が好むのは後者で、広くて高級感のあるインテリアを備えている。
嬉しいことに、XFはハンドリングが特に優れている。自然なペースで直感的に操れるステアリングと、しなやかなシャシーは、安定した姿勢と乗り心地を見事に両立しており、P300は現在のジャガーから選ぶにふさわしいモデルである。また、後輪駆動が恋しくなるかもしれないが、リアバイアスのかかったセットアップにより同様のフィーリングを得ることができる。不意に横滑りする危険もない。
一番のウィークポイントはエンジンで、大した特徴がなく、0-100km/h加速も7.1秒と、速いというより「遅くはない」程度に考えるべきだろう。
BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスほど広くはないが、両車にはない活気と魅力が感じられる。価格も英国では4万7000ポンド(約760万円)からと、比較的お手頃になっている。