欧州一安いブランド 無骨なミドルサイズSUV発売へ 価格は「ワンクラス下」

公開 : 2023.03.10 19:05  更新 : 2023.03.10 19:57

ルーマニアの自動車メーカーであるダチアは、CセグメントSUV「ビッグスター」を2025年に発売予定です。無骨なスタイルを特徴とし、最小限の装備と機能によってコストを抑え、最安とも言われる低価格を目指しています。

ルノーの部品活用 装備品も最小限に

ルーマニアの自動車メーカーであるダチアは、新たなミドルサイズSUVとして「ビッグスター」を欧州市場に投入する。これまで空白だったCセグメントを埋める意欲的なモデルとして期待される。

ダチアのSUVはこれまでBセグメントのダスターしかなかった。ラインナップの拡大は、欧州での成長を後押しすることにつながるだろう。低価格車ブランドとして広く親しまれるダチアは、広範なモデルレンジでライバル(スコダスズキなど)との競争を有利に進めていく狙いだ。

コンセプトモデルから作成したダチア・ビッグスターの予想レンダリングCG
コンセプトモデルから作成したダチア・ビッグスターの予想レンダリングCG    AUTOCAR

新型ビッグスターは、無骨なスタイルながらオンロードに重点を置いたSUVで、2025年初頭に発売される予定だ。プジョー5008やスコダ・コディアックなどと同クラスの、ダチア最大かつ最も高価なモデルとなる。

しかし、コンパクトSUVのダスター、ハッチバックのサンデロ、ミニバンのジョガーといった他のモデルと同様に、コストパフォーマンスを重視することに変わりはない。ダチアは、これこそがブランドの重要な要素であるとしている。

ビッグスターは、ルノー・グループの兄弟車である日産エクストレイルやルノー・オーストラルと同じCMFプラットフォームをベースにしており、当初から手頃な価格に重点を置いて設計されたという。

ダチアのセールス・マーケティング責任者であるグザヴィエ・マルティネ氏は、「ダチアはお客様のための価格設定が重要であると考えており、価格設定はただ技術的な選択の結果であってはなりません。製品企画やエンジニアリング以前に、製品にインプットされなければならないのです」と話す。

欧州市場では、サンデロやダスターは各クラスで最も安価なモデルとして知られており、ビッグスターもまた、同様のアプローチで既存のライバルを打ち負かし、シェアを獲得しようとしている。

こうした価格設定は、どのようにして実現されるのだろうか。ダチアのCEO、ドゥニ・ル・ヴォット氏は、次のように語る。「ダチアのレシピは非常に明確で、本質的なクルマをつくっているのです。スクリーンが置けないときはスクリーンなし、エレクトロニクスを置けないときはエレクトロニクスなし、ADASが載せられないときはADASを搭載しない。このように余計なものがないクルマをデザインしています」

ハイブリッドも導入 新型車はぞくぞく

徹底的な価格戦略が功を奏したのか、ダチアの2022年の世界販売台数は前年比6.8%増の57万3800台となり、欧州の個人顧客向けブランドとしては第3位を記録している。

装備品や機能を減らすことももちろん重要だが、最終的に価格に最も大きな影響を与えているのはルノー・グループのハードウェアの使用である。

SUVは現在、コンパクトな「ダスター」のみを販売している。
SUVは現在、コンパクトな「ダスター」のみを販売している。

ビッグスターは、シンプルさを重視するダチアブランドにふさわしく、限られた仕様のみ用意されるが、日産やルノーと同様に純エンジン車と電動車を設定する見込みである。後者は、ブランド初のハイブリッド車であるジョガー・ハイブリッドに採用された、ルノーのフルハイブリッドシステム「Eテック」が選ばれる可能性が高い。

四輪駆動も選択肢に含まれることは間違いない。ル・ヴォットCEOは、「ダチアはグループから資産を譲り受け、幸運にも先行投資をする必要がなく、フロントランナーである必要もありません」と説明する。そして、「ビッグスターの直後に2つの新型車を導入することで資産を活用し続ける」ことも明らかにした。

2つの新型車について詳細は不明だが、可能性が高いのは、まず小型ミニバンのロガンMCVの後継として、サンデロをベースとするワゴンだろう。また、日産ジュークの流れをくむコンパクトクロスオーバーも、ダチアの新たなエントリーモデルとして期待できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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