フォルクスワーゲン 3月15日に新型EV公開の見通し 最小ハッチバック「ID.2」か

公開 : 2023.03.10 20:05

フォルクスワーゲンは、3月15日(現地時間)に開催するイベントで、新型EV「ID.2」を発表する可能性があります。小型のハッチバックで「ゴルフ」の名称を使うのではないかという情報もあります。

ゴルフ相当のEVか

フォルクスワーゲンは、3月15日(現地時間)に開催されるイベントで新型EV「ID.2(仮称)」を発表するとみられる。また、その中で、新しいデザイン言語と今後の計画について詳しく説明する見込みである。

イベントの様子はYouTubeにて配信される予定で、「#VWforthepeople」というハッシュタグが付けられている。このタグは、量販車の発表準備が整ったことを示唆していると思われる。

車名は「ID.2」となる可能性が高いが、「ゴルフ」の使用も検討中だという。(画像は予想レンダリングCG)
車名は「ID.2」となる可能性が高いが、「ゴルフ」の使用も検討中だという。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

フォルクスワーゲンの関係者によると、この新型EVは2025年に発売される予定で、ベース価格は現在の貨幣価値で2万2500ユーロ(約325万円)を目標としているという。コンパクトな5人乗りで、「ゴルフ」の名を冠することも検討されているそうだ。

AUTOCARの情報筋によると、フォルクスワーゲンとしては初めて「MEBプラス」(MEBのアップデート版)のプラットフォームを使用するという。MEBプラスは新しいLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーへの対応と最大200kWの充電速度などを特徴とする。

現段階では何も公式発表されていないが、ここ数か月、フォルクスワーゲン社内では「IDゴルフ」をはじめ、さまざまな命名法が検討されているとの情報もある。

フォルクスワーゲンのトーマス・シェーファーCEOは昨年、AUTOCARに対し次のように語っている。「ゴルフという名称には大きな価値があります。ユーザーの認知度も高く、まったく違う名称に変える意味がありません」

当初、ゴルフの名称はID.3の後継で使われるものと考えられていた。しかし、現在AUTOCARの情報筋はこれを否定しており、より小型のモデル(いわば「ID.2」のクラス)への採用の可能性が高いという。

2年前のコンセプトは生ぬるかった?

2021年に発表されたコンセプトモデル「IDライフ(ID.Life)」がこのクラスに相当するが、新型EVはコンセプトで注目を集めた直線基調のクロスオーバースタイルではなく、オーソドックスなハッチバックスタイルとなる見込みである。

実は、IDライフ発表前後でデザイン責任者や経営陣が交代しており、新しい経営陣はコンセプトのデザインについて「生ぬるい」と述べていた。これを受け、大幅に路線変更をしたという経緯がある。

2021年のコンセプトモデル「IDライフ」のデザインは、新しい経営陣に却下されたという。
2021年のコンセプトモデル「IDライフ」のデザインは、新しい経営陣に却下されたという。

このデザインをめぐって社内で議論が交わされた後、当時のデザイン責任者ジョセフ・カバン氏は退任することとなった。彼は2020年からフォルクスワーゲンのデザイン責任者を務めていたが、現在は同社のクリエイティブ・アート・ディレクターに就任している。

内部情報に詳しい関係者によると、ボディサイズはポロとゴルフの中間にあたり、全長「4250mm前後」とされている。比較的短いボンネットとフラットフロアにより、「1クラス上のモデルのような室内空間」を実現するとのことだ。

ある関係者は、「フォルクスワーゲンはこのクラスで素晴らしい伝統と商品力を持っている。電気駆動とはいえ、全く新しいスタートを切るのではなく、フォルクスワーゲンがこれまで得意としてきたことを合理的に継続するものだ」と語っている。

現段階では、シングルモーターを搭載する前輪駆動車のみが導入される予定だという。しかし、関係者は将来的にデュアルモーター/全輪駆動モデルも登場する可能性も排除できないとしている。

車重についても関係者は「EVの基準からすると比較的軽量で、1600kgから1700kgの間くらいになるだろう」と言う。さらに、シェーファーCEOがスポーツモデルのGTIに前向きな姿勢を示していることから、EV版のゴルフGTIが導入される可能性もある。

現在、EVのスポーツモデルに使用されているGTXという名称は、今後廃止される方向性にある。幹部クラスに近い関係者は、「従来のGTIの名称に置き換えることは既に決定しており、ID.2でも検討中だ」と語る。

前輪駆動とGTIの名称の組み合わせは、1976年に登場した初代ゴルフGTIにさかのぼる。新型EVに設定されるかどうかは不明だが、年内にオーナーズミーティングやファンミーティングなどでコンセプトが披露される可能性が示唆されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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