中国ブランド小型EV 福島で生産へ 月額9800円「大熊Car」とは? 「日本生産」のねらい、孫社長に訊く

公開 : 2023.03.14 05:45

軽規格にあわせて設計変更 月額なんと9800円!

――「大熊Car」とはどんなクルマですか?

「『大熊Car』は5ドアで乗車定員は4名。中の座席を外して配送など商用用途にも使えます。全長3880mm、全高1610mmでベース車両は全幅1499mmですが日本で販売する仕様は全長と全幅を軽自動車枠内に収めます」

「大熊Car」(写真右)は中の座席を外すことで商用用途にもなる。月額9800円と安価な価格設定で普及を狙う。
「大熊Car」(写真右)は中の座席を外すことで商用用途にもなる。月額9800円と安価な価格設定で普及を狙う。

「最高速度は100km/hでバッテリー容量は16.5kWhなので、長い距離を早い速度で走るためのEVではなく、近距離移動用に設計されています。家庭のコンセントで普通充電できるので、特別な充電ステーションは不要。この気軽さがEV普及率の向上につながると考えています」

――日本国内向けに販売されるのですか?

「はい。大熊Carは日本および東南アジア市場で販売される予定です。ただ、通常の販売形式ではなく、サブスクスタイルを導入する予定です」

「月額9800円と安価な価格設定でEVを普及させ、低所得者でも環境にやさしい社会を目指します。わたし達のターゲット顧客はレンタカー企業、企業営業用車、リース企業に加えてZ世代(18歳~20代前半の若者)の方にもぜひ使っていただきたいと考えています」

「そのために学校などでEV展示会をおこない、EV普及の啓もう活動をおこなっていきたいですね。中国の低コストサプライチェーンを導入することで、日本のEV普及率を2030年に30-40%に引き上げることに貢献できると思います」

――他の2台も気になりますが、なぜ今、これら小型EVの日本導入が検討されているのでしょうか?

「自動車市場において、EV(電気自動車)の需要が急速に拡大しています。とりわけ、気候変動や環境問題に対する意識の高まりでEVへの関心は世界的に急速に高くなっています」

「弊社のEVは入門用と考えていただけるとよいかと思います。LCCの廉価版EVですから日本や欧米メーカーのEVとは競争関係にありません。まずは、入門EVを体験することで、EVに対する国民の関心を喚起し、EVの普及を容易にします」

――日本国内で中国メーカーのクルマを生産する計画があるとは驚きました。

「1980年代から自動車メーカーを含む多くの日本企業が中国に進出し工場を建設していますが、逆のバージョンは極めて少ないです、中国企業が日本に投資し、工場を建設することはほとんどありませんでした」

「アパテックは、このようなかたちで中国有力企業を誘致して日本への企業投資をおこなうことで、新しい日中友好関係のステージが作られると考えています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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