メルセデス・ベンツA250 AMG
公開 : 2012.06.30 18:31 更新 : 2017.05.23 16:46
■どんなクルマ?
新しいメルセデス・ベンツAクラスのトップ・レンジ・モデルがこのA250 AMGだ。現実的には、経済的なディーゼル・モデルがその売上の多くを占めることとなるだろうが、それでもガソリン・エンジン搭載のA250が、新しいAクラスを代表するモデルであることは間違いない。
A250 AMGは、BMW 125iや、新しい1.8リッターのTSFIエンジンを搭載したアウディA3のライバルとなるモデルである。208bhpのそのエンジンは、7速DCTトランスミッションと組み合わせられ、0-100km/hを6.6秒で駆け抜ける実力を持つ。そのパフォーマンスと共に、そのバッジに裏付けられるプレミアム・ブランドの魅力があるハッチバック・モデルなのである。
メルセデスは、ガソリンのA250であっても、経済性を犠牲にしたモデルではないと主張している。カムトロニックと名付けられた可変バルブリフトを備えるオール・アルミ製のエンジンは、16.4km/lの燃費と143g/kmのCO2排出量をマークする。
A250 AMGは、AMGスポーツ・トリムを備えたモデルだ。それは、スポーツ・サスペンション、スポーツ・シート、18インチの5スポーク・アロイ・ホイール、そしてアルカンタラの内装を持つ。もちろん、本当の意味でのトップ・モデルは、来年デビューする予定のA45 AMGを待たなければならないが、それでも大きく変更されたフロント・アクスル、下げられ固められたサスペンションとワイドなタイヤを履く、”AMGの技術”が詰め込まれたモデルがこのA250 AMGなのだ。
■どんな感じ?
寄せ集めのような感じがするクルマだ。メルセデスはこの新しいA250 AMGを造るにあたって、前モデルよりも研ぎ澄まされたシャシーに、荒れ狂う208bhpのエンジンを積んだ過ぎないような気がする。ガソリン・エンジンをトップ・モデル用として選択した。確かにそれはレスポンスも良く、洗練されて、速いエンジンだ。しかし、この下のクラスの168bhpのディーゼル・エンジンを搭載するA220 CDIでも十分に発揮できる性能だ。
35.7kg-mのピーク・トルクを1200rpmという低回転で得ることが可能だが、それもディーゼル・エンジンのユーザビリティを複製したように感じる。
また、7速のDCTトランスミッションとの相性も決して良いとはいえない。デフォルトのエコノミー・モードの場合、そのスロットル・レスポンスはかなりいらいらするほど悪く、Aクラスを重々しく走らせることになる。スポーツ・モードにすれば、軽快にはなるものの、2速ダウンシフトしようとするときなどは、右足に相当力を込めないと駄目だ。
とはいうものの、そのステアリングは機敏で正確。ボディ・コントロールも良い(これは新しいAクラスに共通だが)。素早いステアリング操作にもシャシーがしっかりと反応してくれた。
■「買い」か?
メルセデス・ベンツの会場の奥深い場所にあったトイレにスティーブ・ジョブスの言葉が書いてあった。 「デザインとはただどのように見えるかとか、どのように感じるかということではない。 デザインとはどう機能するかだ」。素晴らしい言葉である。
前のAクラスは、その狡猾なパケージングとオリジナリティ溢れるエンジニアリングが、どう機能的に作用するかという証明でもあった。しかし、そっけないラインと豪華なインテリアを持つ新しいAクラスは、それはハイクラスなクルマとはどうあるべきかというオマージュではあっても、オールラウンドなダイナミクスを求めたものではないような気がしてならない。
新しいAクラスは、BMWとアウディが示したコンパクトカーのベンチマークを追っているだけのクルマだ。確かに、いくつかの点でライバルを上回っている。しかし、それは同じライン上での戦いをしているだけだ。良くも悪くもA250 AMGは、メルセデスの平凡なアプローチを象徴するクルマ、ということができるだろう。
(リチャード・ブレムナー)
メルセデス・ベンツA250 AMG
価格 | 26,855ポンド(337万円) |
最高速度 | 241km/h |
0-100km/h加速 | 6.6秒 |
燃費 | 16.4km/l |
Co2排出量 | 143g/km |
乾燥重量 | 1445kg |
エンジン | 4気筒1991ccターボチャージャー |
最高出力 | 208bhp/5500rpm |
最大トルク | 35.7kg-m/1200rpm-4000rpm |
ギアボックス | 7速オートマティック |