もの足りない437kmと150kW レクサス RZへ英国試乗 競争の厳しいクラスで挑む
公開 : 2023.03.17 08:25
四輪駆動が生む適度な充足感の運転体験
RZの運転体験には適度な充足感が伴う。ダイレクト4と名付けられた、四輪駆動システムが貢献しているのだろう。加減速時に前後の駆動用モーターを巧みに制御し、ボディの前後の傾きを抑制する、新しいシステムが実装されている。
もっとも、フロントの駆動用モーターの方がパワフルなため、リアタイヤが主役になる印象はない。操縦特性は常にニュートラルで、エネルギッシュな感覚は薄い。RZはスポーティなSUVを目指していないから、問題ないけれど。
グリップ力は充分以上。ステアリングホイールの操舵感には適切な手応えが伴い、安心感が高い。
インテリアは、プラットフォームをともにするbZ4Xより遥かに上。上級グレードを選択すれば、柔らかいレザーなどの使用量が増え、ジェネシスやBMWの雰囲気に並ぶ。
車内空間は、ボディサイズを考えると広いとはいえない。全長は4805mmあり、bZ4Xやヒョンデ・アイオニック5より長いものの、それらより明確に勝るわけではない。前列・後列ともに、膝前の余裕は感じられるが。
荷室容量は、522Lとまずます。ひと回り小さいモデルと比べて、大きなアドバンテージがあるとはいえないだろう。
インフォテインメント・システムの技術水準はいまひとつ。実際は、ナビの利用時にもスマートフォンとミラーリングさせることが多くなりそうだ。都度発せられる警告音も耳障りだった。
印象的に機能するワンモーション・グリップ
同じ機会に、ワンモーション・グリップと呼ばれる、ステアバイワイヤ・システムも試すことができた。通常は電気信号で操舵されるシステムで、操縦桿のような四角いハンドルが備わる。
市販車への搭載は2年も先ということで、技術者は調整段階だと説明していたが、既に現状でも印象的なほど機能していた。ロックトゥロックは150度しかなく、狭い交差点でもグリップを握り直す必要がないことへ感心した。
筆者は、急旋回時の操作と反応へ最初は戸惑ったものの、想像以上にすぐに慣れる。通常のステアリングホイールより、グリップレベルの情報量は多く感じられた。
可変レシオが原因と思われるが、深く切り込みロックする手前で、精度が悪化するようでもあった。SUVなら大きな問題ではないといえるが。
操縦桿のようなハンドルと、高めのメーターパネルという組み合わせは、運転姿勢が起き気味のbZ4Xとも相性が良さそうだ。RZの場合は、SUVとしてはやや低めの姿勢に設定されている。
レクサスの期待を背負っているであろうRZには、興味深い新技術が盛り込まれ、好印象なドライビング体験へ反映されている。しかし車内空間や航続距離、急速充電能力、インフォテインメント・システムなど、惜しまれる部分も混在している。
英国価格は6万2600ポンド(約1007万円)からで、ジャガー IペイスやiX3などと比較されることになる。ライバルとの戦いを、楽に運ぶことは難しいかもしれない。
レクサスRZ 450e(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万3100ポンド(約849万円)
全長:4805mm
全幅:1895mm
全高:1635mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:437km
電費:5.4-5.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:64kWh
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:313ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:−