フォルクスワーゲン・マルチバン 詳細データテスト サイズのわりにいい走り 広いが反響音が気になる

公開 : 2023.03.18 20:25  更新 : 2023.04.04 01:05

7代目のフォルクスワーゲン製バンは、乗用車プラットフォームにより、ボディサイズのわりに走りは上々で、乗り心地も上質。広さやシートの構造ゆえ気になる音が出たりしますが、総じてバンの魅力を再確認させる出来映えです。

はじめに

フォルクスワーゲンのバンは、T7世代に至ったが、同時に多様化も図られた。まずはT6トランスポーター直系にあたるこのT7マルチバン、次に完全電動車のID.Buzz、そしてフォードとの共同開発車だ。

この3車種に、直接的な関係はない。そして、空冷リアエンジンのタイプ2にはじまる系譜に連なるのは、今回テストするT7マルチバンのみだ。

テスト車:フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4 eハイブリッド・スタイル
テスト車:フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4 eハイブリッド・スタイル    LUC LACEY

Tのイニシャルを持つバンのルーツは、もちろんタイプ2だ。はじまりはビートルことタイプ1のシャシーをベースに大幅改修して、ムービングパーツの上に使い勝手のいいフラットベッドを配置した、工場内で使用する運搬車だった。プラッテンバーゲンと呼ばれるこれを目にしたオランダのインポーターが、それをもとにした市販車を1947年に提案。その2年後に、晴れて量産を開始した。

ビートルは簡素で安価な実用車として開発されながら、チャーミングでひとびとに愛される存在となったが、T1ことタイプ2にも同じことが起こった。そしてT2以降、T6トランスポーターまで、程度の差こそあれ、多くの支持を集めるクルマであり続けた。現在のバン市場を見ても、モディファイされたり、ファミリーユースに供されたりしているものの多くはフォルクスワーゲン製だ。

そのことが、最新世代の多様化につながったと言える。商用にフォーカスしたニーズは、フォードとのジョイントベンチャーが満たすことになるだろう。もっとクールで斬新なものが欲しいユーザーは、EVのID.Buzzに目を向けるはずだ。

そして、3つのバン系モデルの中で、公式にT7の名を使う唯一の存在が、今回のマルチバンである。初代が76年前にそうだったように、ひとびとを魅了するクルマなのか、確かめていこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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