フォルクスワーゲン・マルチバン 詳細データテスト サイズのわりにいい走り 広いが反響音が気になる

公開 : 2023.03.18 20:25  更新 : 2023.04.04 01:05

結論 ★★★★★★★★☆☆

マルチバンにしばらく乗れば、どうしてバンを買おうと思って、しかも一度乗ったら乗り続けるユーザーが多いのかよくわかる。

ひとつには、SUVやスポーツカーとは違って、クラスレスだということが理由だろう。どこでも好きなところへ行くことができて、クルマで値踏みされることがない。

結論:最新のワーゲンバスは乗用車と商用バンとのいいとこ取りだった
結論:最新のワーゲンバスは乗用車と商用バンとのいいとこ取りだった    LUC LACEY

しかし、最終的には、商用バンの万能性はそのままに、サイドとリアのウインドウが加わったクルマであるということにつきる。ほとんどの場合、ライフスタイル物件としてベストなのは、SUVではなくバンだと言える。

フォルクスワーゲン・トランスポーターは、これまで常にこのジャンルの典型的モデルだった。そして現行のT7マルチバンは、これまでと違う方向性をみせるものとなった。バンのプラットフォームを乗用に仕立てるのではなく、乗用車プラトフォームをバンに転用したのだ。

しかし、できあがったものはこれまでどおり、リラックスしてゆったり走れるクルーザーであり、そこに広大なスペースと実用的なインテリアも持ち合わせたクルマだ。使用したアーキテクチャーゆえに、運転支援や安全システムが、ハードもソフトも最新のものになったのも見逃せない。

喜ばしい高級感はある。室内空間の大きさゆえに生まれる、望ましくない音もあるが、全体的に見れば、おおむねうまく折り合いをつけている。期待どおりだといえるだろう。

担当テスターのアドバイス

マット・プライヤー

パノラミックグラスルーフは、室内のボリュームをわずかに増す。しかし、常にシルクハットをかぶっているのでもなければ、実用面の必要性はないだろう。

マット・ソーンダース

2トーン塗装は、クルマ好きの目を引くだろう。しかし、それによって納期が遅れてしまうのは無視できない。

オプション追加のアドバイス

はたしてライフ仕様のインフォテインメントが、今回のスタイル仕様より大幅によかったり悪かったりするのか、そこを知りたい気持ちはあるが、装備内容の充実度という点ではベーシックなグレードでも上々だ。セキュリティ性を高めるプライバシーガラスも付いている。ナビも、スマホとリンクすれば問題ない。自動ドアも必須ではない。ただ、ヒーター付きフロントウインドウが装備表から抜けるのだけは残念だ。

改善してほしいポイント

・インフォテインメントシステムのレイアウトは見直すべき。これまでもフォルクスワーゲンにはそう進言し続けてきた。ようやく、ID.3のマイナーチェンジで、変化の兆しらしきものを見ることはできたが。
・バッテリーサイズを拡大して、EV走行の距離を伸ばしてほしい。
・反響音の原因を突き止めてもらいたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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