スピリットは宿すのか アルファ・ロメオ・トナーレ アウディQ3 コンパクトSUV比較 前編

公開 : 2023.04.01 09:45

拮抗するスタイリングの訴求力

これまでのモデルとは異なり、合理的にもSUVのトナーレを選択して欲しいとアルファ・ロメオは考えている。確かに、並べてみるとアドバンテージを感じられるかもしれない。

車内空間は、ひと回り大きなボディサイズを活かしゆとりがある。価格帯としては装備が充実しており、インテリアの仕立ては高品質。大人4人が快適に過ごすことができる。

オレンジのアウディQ3 45 TFSIe Sラインと、グリーンのアルファ・ロメオ・トナーレ PHEV Q4ヴェローチェ
オレンジのアウディQ3 45 TFSIe Sラインと、グリーンのアルファ・ロメオ・トナーレ PHEV Q4ヴェローチェ

新規顧客に対するショールームでのアピール力は、もしかすると充分ではないかもしれない。数年前に登場した、サルーンのジュリアやSUVのステルヴィオに並ぶほどのデザイン的な訴求力が備わるといえるのか、筆者は疑問を抱いてしまう。

コンパクトSUVとしては、カッコイイ部類に入る。だが、多くの要素で自己主張する競合モデルと比較して、トナーレが際立つほどではないだろう。

横置きエンジンをフロントオーバーハングの前に搭載した、小柄で背の高いモデルの場合、視覚的な魅力を得ることは簡単ではない。地面とのスタンスやプロポーションの兼ね合いは、デザイナーを悩ませたことだろう。

トナーレの方がカッコイイと読者が感じたとしても、もちろん理解できる。個人的には、短いボディにシャープな面構成が施された、Q3のスタイリングの方が好ましい。

とはいえ、Q3もグラフィック的な処理がもう少し控えめで、テクノロジーを売りにするアウディらしさが表現されていてもいいとは思う。いかがだろう。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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