2.0Lフラット4でも堪能できる ポルシェ718ボクスター(982) 英国版中古車ガイド 実用性も○

公開 : 2023.03.27 08:25

実用性にも気が配られたパッケージング

718ボクスターのインテリアは上質で、アルカンターラも随所に用いられている。ドライビングポジションに優れ、長時間でも快適に過ごせる。スイッチ類などの製造品質は高く、ボタンを押した質感にもこだわられている。

コンパクトなサイズながら、パッケージングは実用性にも気が配られている。大人2名がゆったり座れる車内空間だけでなく、ボディの前後には悪くない大きさの荷室が設けられている。

ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)
ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)

英国市場を観察すると、2016年式の718ボクスターで3万5000ポンド(約563万円)前後が相場。Sは約4万3000ポンド(約692万円)、GTS 4.0では約5万ポンド(約805万円)へ上昇する。お手頃ではないが、内容を考えれば高いとはいえないだろう。

知っておくべきこと

718ボクスターの燃費は、2.0Lフラット4のWLTP値で11.5km/L。GTS 4.0では9.9km/Lに落ちる。

AUTOCARの姉妹メディアの調査では、718ボクスターの信頼性は振るわない。クーペやコンバーチブルなどを含めた同クラスのカテゴリーでは、8台中8位へ沈んだ。ポルシェというメーカー自体は、スポーツカーを販売する30社中25位となっている。

ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)
ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)

これは、基本的にエンジンは信頼性が高いものの、初期のデュアルクラッチATに不具合が多かったことが原因の1つ。塗装の品質に不満を抱くオーナーもいるようだ。

トリムグレードとスペック

718ボクスター T:もちろんフラット6は素晴らしいが、お手頃に探せる2.0Lフラット4の魅力は捨てがたい。特に「T」は充分な動力性能にアップグレードされたシャシーが組み合わされ、甘美な体験を味わわせてくれる。

ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)
ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

リコール

英国では、エアバッグ・コントロールユニットにリコールが出されている。ソフトウエアの更新と部品交換が必要になり、ディーラーで対応済みか確認したい。

エンジンの高圧燃料パイプに、締め付けが甘い部分が含まれる可能性も報告されている。内部のコンロッドに不具合がある可能性もあり、これはエンジンの交換が必要になる。いずれもリコール対応で、英国では無償修理が可能だ。

これまでの乗られ方

ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)
ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)

高性能なスポーツカーだから、オーナーによっては少々アグレッシブに運転した過去もあるだろう。これまでの整備履歴や事故歴、ホイールのガリ傷などを確かめたい。

ソフトトップ

折りたたみ式ソフトトップの状態と動作具合を確かめる。修理にはかなりの費用が必要になる。

英国編集部の推しチョイス

ベスト:718ボクスター

ベースの718ボクスターでも、充分にポルシェの走りを堪能できる。SやGTSほど新車時の価格が高くないため、そのぶん魅力的なオプションを備える例も見つかる。

ワイルドカード:718スパイダー

究極の718ボクスターといえるのが、スパイダー。プレミア価格がついているが、珠玉のフラット6エンジンを搭載し、サーキット走行へ焦点が向けられている。スリル満点のミドシップ・ポルシェだ。

ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)
ポルシェ718ボクスター(982型/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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