新型フォード・エクスプローラー 欧州発表 次世代EV「アメリカン・スピリット」強調
公開 : 2023.03.22 18:05
フォードは3月21日、欧州向けの新型EV「エクスプローラー」を発表しました。フォルクスワーゲンのMEBプラットフォームを採用し、1~2基のモーターを搭載。これまでとは大きく異なるデザインを導入しています。
欧州フォードの新時代を開拓
フォードの新しい時代が始まった。新型「エクスプローラー(Explorer)」は、フォードのアメリカンスピリットを受け継ぎながら、欧州市場向けに、欧州で設計・製造される電動SUVなのだ。
2023年半ばから、ドイツのケルン工場(現在はフィエスタを生産)で生産が開始される予定だ。全長4460mmと、クラスとしてはコンパクトSUVとミドルサイズSUVのほぼ中間に位置しており、ジープ・アベンジャーやミニ・エースマン、ヒョンデ・アイオニック5、スコダ・エンヤクiVまで、あらゆる車種と競合することなる。
欧州における重要な新製品であり、これまでのフィエスタ、フォーカス、モンデオとは一線を画す「アメリカンネス(American-ness、米国らしさ)」をコンセプトに、新しい設計を取り入れた乗用EVである。
欧州フォードの責任者であり、EV部門「モデルE」の責任者も務めるマーティン・サンダー氏は、「フォードの真のDNAにもう少し傾注し、そのルーツに立ち返れば、フォードは欧州でビジネスを続けている唯一の米国の象徴的な自動車会社です。ブランドを再ポジショニングし、このDNAを軸に新しい体験の世界を創造する大きなチャンスがあると思います」と話す。
エクスプローラーは、フォルクスワーゲンのEV用プラットフォーム「MEB」をフォードとして初めて採用したEVである。フォードによると、フォルクスワーゲンのID.3とID.4の中間に位置するサイズを選択したのは、この2車と直接競合することを避けるための意識的な決定だったという。
最もパワフルな仕様では、前後にモーターを搭載して四輪駆動とし、合計出力340psと55.5kg-mのトルクを発揮する。
また、後輪駆動モデルでは170psと286psの2種類のパワーオプションが用意されている。バッテリーについてはまだ詳細が明らかにされていないが、最も脚の長い「マックス」仕様で最大500kmの航続距離を目標としている。予想としては、エントリーモデル向けの52kWhバッテリーと、アウディQ4 eトロンで508kmを謳う77kWhバッテリー(いずれも170kWの速度で充電可能)が用意されるのではないかと思われる。
欧州向けに「米国らしさ」を強調
フォルクスワーゲン・グループのプラットフォームを使用するものの、エクスプローラーは「米国ブランド」を前面に押し出している。エクステリアデザイン・マネージャーのジョーダン・デムキウ氏は、「わたし達は米国企業であり、そのことを強調したい」と語っている。
デザインの点では、エクスプローラーは欧州フォードの新時代の旗手である。欧州デザインスタジオの責任者であるアムコ・リーナーツ氏は現在、欧州市場向けの全車種のデザインを見直そうとしている。
乗用車はまず、「アドベンチャラス・スピリット」の旗印の下に規定された4つのデザインの柱に従って分類されることになった。ブロンコのようなオフロード車は「アルティメット・アウトドア」、マスタングのシリーズは「ワイルド・パフォーマンス」、都市部に特化したプーマは「アーバン・エスケープ」、そしてクーガやエクスプローラーのような家族向けSUVは「アクティブ・アドベンチャー」に振り分けられる。
リーナーツ氏はAUTOCARの取材に対し、新型エクスプローラーは従来のエクスプローラーとは明らかに異なる製品であるが、同じキャラクターを体現することが重要である、と語った。「アドベンチャラス・スピリット(冒険心)を表現する最初のクルマであることは、驚くことではないと思います。このクルマは、フォードの冒険的な精神を伝えるのに適したポジショニングを持っています」
さらに、フォードは他の歴史的な車名を再展開し、新製品にブランドのレガシーを付与していくことを検討中だという。「一般的に、新しい領域にネームプレートを持ち込むことは、世間一般に好まれていると思います」
「それが目標です。顧客のニーズを考慮しながら、よりクリエイティブな方法でそれらのネームプレートを拡張することができるのです。そして率直に言って、マスタングにはそれができましたし、エクスプローラーにも可能であることが証明されました。これから出てくる他のネームプレートにも、拡張できると感じるものがあります」
しかし、リーナ―ツ氏はどの車名が使われることになるのか具体的な言及は避けた。今回のエクスプローラーだけでなく、プーマやマスタング・マッハE、ブロンコなど、すでに多くの「銘板」が復活を遂げている。