メルセデス・ベンツS500プラグイン・ハイブリッド
公開 : 2014.09.23 23:40 更新 : 2017.05.13 12:51
プラグインこそ、この価格帯のクルマに相応しいのではないかと思ったほど。それくらいにエンターテイメント性や、動力性能の質感は群を抜いている。エレクトリック・モード時の、140km/hのリミットに向かって静かに迷いなく速度を上げてく様子は痛快の一言。
モーターとエンジンの両方が稼働した際の加速は思わず目を見開いてしまうほどで、速さを維持し続けるようなシチュエーションでも力不足やラグを感じることは一切ない。
バッテリーのせいで、車重は大きく増すことになったが、それでもメルセデスの公表値で0-100km/hタイムは5.2秒、リミッター制御時の最高速度である249km/hまで力強く加速してゆく。ちなみにポルシェ・パナメーラS E-ハイブリッドはメルセデスよりも45kg軽く、0-100km/hタイムは5.2秒、最高速度は269km/hというのが公式の数値。2台の購入で迷っている方は参考にして頂きたい。
S500の複合サイクル燃費は35.8km/ℓ、平均のCO2排出量は65g/kmとなっている。ポルシェの場合は32.2km/ℓと71g/kmというのがそれぞれの公表値だ。
ほとんどのメーカーの場合、実際の値と公表値はかけ離れた結果になるのだが、中でもメルセデスはかなり現実的な数値を提示してくる。したがってどんなドライバーでも、バッテリーがフル充電の状態でアクセルを優しく操作すれば、上に記す公表値は達成しやすいのである。公表値を超える場合だってありえる。
このテストでは、77kmあまりの比較的平滑な道をを走行したのだが、その間の平均燃費は31.2km/ℓを示した。またその内の22.5kmはバッテリーのみで走行したようだ。
ハイブリッドだからと言って特別なことを強いられることは無く、ディーゼルやガソリンのSクラス同様に普通に乗り込んで、普通に走りだすだけ。ただしモードを使いこなせば、さらに良い結果が出せるのも事実。そうなるまでには時間と根気強さが必要かもしれない。
ではそれぞれのモードが、どのように棲み分けられているのかも見ていくことにしよう。ハイブリッド・モードはガソリン・エンジンと電気の両方を作動するモードだ。E-モードはバッテリーの息がつづく限り電気のみで走る。E-セーブはのちに電気のみで走る際に、バッテリーをセーブしておくモード。チャージ(占有)モードは走行中にバッテリーが充電されるようになっている。
テスト車両を手渡されたときは、ドライバー正面のディスプレイはバッテリー残量25%を示していた。バッテリーだけで走行できるのは約8km程度といった所だ。しかしチャージ・モードにした時から25分あまりで85%まで回復した。言いかえればわずか25分で約29kmのバッテリー走行が可能になったのだ。
重量増加分が乗り心地に影響していなかったのも嬉しい。標準の18インチ・ホイールには、フロントに245/50、リアに275/45の低燃費タイヤが組み合わされていたが、他のSクラスに比べて劣ると感じることは全くなかった。