韓国サンヨン 長年の「痛いイメージ」払拭へ KGモビリティにブランド変更

公開 : 2023.03.24 19:05  更新 : 2023.03.24 20:09

韓国の自動車メーカー、サンヨン(双龍)は「KGモビリティ」へのブランド転換を発表しました。新しい親会社のもと、長い間抱えてきた不安要素に終止符を打ち、イメージの向上を図っています。

サンヨンから「KG」へ 電動車に注力

韓国の自動車メーカーであるサンヨン(双龍自動車)は、新しい親会社であるKGグループのもとで、「KGモビリティ」として再ブランド化することを明らかにした。

ブランド変更は今年1月4日にアナウンスされたもので、3月22日の株主総会で承認に至った。

サンヨン・コランドeモーション
サンヨン・コランドeモーション

コリア・ヘラルド紙の報道によると、新会長に就任したクァク・ジェスン氏は「サンヨンという名前は、良い思い出のあるファンダムであると同時に、痛々しいイメージもあります。今後、サンヨン車はすべてKGという名前で世に出ることになります」と述べたという。

サンヨンは1954年に韓国で設立された自動車メーカーで、北米や欧州にも進出したが1990年代から経営が悪化。2010年にマヒンドラに買収され、経営再建に乗り出すが難航し、2020年12月にすべての投資が取り下げられた。

EVバスや商用車を製造する韓国の新興企業エジソン・モーターズが1億8700万ドル(約244億円)で買収するところだったが、エジソンが2022年3月の支払い期限を守らなかったため、取引は決裂した。韓国経済新聞は取引決裂後、サンヨンの労働組合員がエジソンの資金調達能力を疑い、買収に反対していたと報じた。

こうした紆余曲折を経て、サンヨンは2022年8月にKGグループに9500億ウォン(約960億円)で買収された。KGモビリティへのブランド変更は、イメージ刷新を図ったものだ。

これまで低価格車ブランドとして実用性重視の4WD車やファミリーカーを生産してきたが、韓国国外での印象付けに苦労してきた。

自動車登録台数追跡サイト「Carsalesbase.com」の数字を引用すると、欧州での販売台数は2007年に3万2840台をピークに低迷を続けた。2008年の金融危機の際には9700台まで激減し、それ以降も2万台を超えることはなかった。

KGグループのもと、同社はEV専用のプラットフォームと、自動運転や人工知能(AI)などの機能を持つソフトウェア重視の車両開発に注力していく予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事