中国BYDバス「六価クロム」報道のその後 三菱ふそうは使用しているのにBYDはなぜNG? 日野ポンチョZ EVどうなる?
公開 : 2023.03.26 05:45 更新 : 2023.03.27 21:41
一時運行休止のBYDバスは続々運行再開!
ところで、六価クロム使用の報道を受けて、BYDの電気バスを導入している事業者の中にはBYD製バスの運用を休止するところもあった。
ところが、1か月が経過し現在はその多くがすでに運行を再開している。
休止をしていない事業者を含めて現在の運行状況をいくつか紹介してみたい。
長野県「e-ミライ号」(BYD J6)
2023年2月7日から小諸市内巡回線(千曲小学校遠距離通学便及び小諸高原病院通院支援便)として運行していたが、六価クロムの件を受けて運行を一時休止。3月10日から運航を再開。
千葉県 平和交通バス(BYD K8/J6)
2021年5月に国内初めてK8を路線バスに導入。使用を休止した期間はなく通常運行中。
東京都 恩賜上野動物園(BYD J6)
2020年7月より恩賜上野動物園の東園と西園を結ぶシャトルバスとして小型電気バスJ6を運行。六価クロムによる使用休止はなし。
京都府 プリンセスライン(BYD K9)
日本におけるBYDバスの先駆である同社は2015年から京都市内の路線バスとしてK9を運行。使用休止期間はなく通常運行中。
京都府 京阪バス(BYD J6/今年3月上旬よりK8を新規導入)
六価クロムの件を受けて運行を一時休止していたが、2023年3月現在、運行を再開している。
大阪府 阪急バス(BYD K8)
六価クロムの件を受けて2月下旬からK8の投入路線で従来のディーゼルバスが代わりに運行されていたが、現在はK8の運行が再開されている。
なお、2月22日に予定されていた納車発表会が急遽中止となった西武バスは現在も運行を開始していないが、「BYDからの報告をもとにお客さまへの安全が確立されれば運行への準備をすすめていきたい」(西武バス広報担当者)としている。
もっとも厳しい 「EU ELV指令」とは?
BYDジャパンの乗用車に関する報告リリースにも出てきた、「EU ELV指令」(欧州廃車指令)について紹介しておきたい。世界に先駆けて定められたもっとも厳しいとされる欧州の規制はどのような内容なのか。
EU ELV指令 第4条(2)(a)
EU加盟国は2003年7月1日以後に市場投入される車両の材料および構成部品が、附則IIに記載する事例ならびに定めた条件に適合する場合を除き、鉛、六価クロム、水銀、カドミウムを含有しないことを保証するものとする。※六価クロム閾値0.1 wt%
そして、指令の対象になるのは、
・乗用車(乗車定員9名以下の人員運送用車両)
・小型バスなどの商用車(同じく9名以下)
・トラック(最大重量が3.5t以下の物品輸送用の車両)
・三輪自動車
となっている。
大型トラックや大型バスはELV指令の対象とはなっていない。
なお、このELV指令は2022年~2023年に「指令」から「規制」に格上げされる見込み。そのタイミングで大型商用車も対象にすべきでは? という提案も出されているが、2023年3月現在では大型商用車は対象とされていない。
EU ELV指令に関しては、自工会の自主規制も「EU ELV指令と整合した形」をとっている。ただし、自工会は大型商用車(バスやトラック)も対象にしているところがEUとは異なっている。
最後に、最も気になる「日野ポンチョZ EV」の発売だが、こちらについて日野自動車に確認したところ、「発売凍結を発表した状態から何もお話できることはありません」とのことであったが、これまでのBYDジャパンの対応から察するに、発売凍結が解かれる日もそう遠くはないと考えられる。