アルファ・ロメオ・カラボ(1968年)

アルファ・ロメオによると、1938年生まれの自動車デザイナーであるマルチェロ・ガンディーニ氏は、ベルトーネの依頼でウェッジシェイプのカラボをデザインする際、「コンパスを捨て、定規を使った」とされている。このモデルは、レーシングカーのティーポ33をベースとした、曲線的な33ストラダーレから派生したもので、同じ2.0L V8エンジンをリアアクスルの前に搭載している。

設計の過程で、ガンディーニ氏はシザードアを発明し、後に多くのスーパーカーに採用されることになる。その中にはランボルギーニカウンタックも含まれており、さまざまな点でカラボと似ている。

アルファ・ロメオ・カラボ(1968年)
アルファ・ロメオ・カラボ(1968年)

シボレー・エアロベット(1969年)

シボレーは2019年に史上初となるミドエンジン搭載のコルベットを発売したが、「エアロベット」と呼ばれる試作車では1960年代から本格的な試みが行われていた。「コルベットの父」と呼ばれるゾーラ・アーカス=ダントフ氏が設計し、最高出力420psのロータリーエンジンを2基搭載した、軽量かつパワフルなクルマとなった。

しかし、シボレーのゼネラルマネージャー、ジョン・デロリアン氏がコスト面を理由に当プロジェクトを中止する。ところが、1970年にフォードをバックに付けたデ・トマソ・パンテーラがモーターショーに登場するのに対抗して、プロジェクトは再始動。でも結局、市販化には至らなかった。顧客調査の結果、コルベットのドライバーの間では、ミドエンジン車に対する抵抗感が大きいことがわかったのだ。

シボレー・エアロベット(1969年)
シボレー・エアロベット(1969年)

メルセデス・ベンツC 111(1969年)

メルセデス・ベンツは、ミドエンジン、ガルウィングドアのスポーツカー「C 111」を9年間で複数台製造した。もはや少量生産と呼んでもいいかもしれないが、いずれも一般販売を目的としたものではない。最初の11台はすべてロータリーエンジン(3ローターで約280ps、4ローターで350ps)を搭載していたが、結果的にメルセデスにロータリーは向かないということになった。

その後、ターボディーゼルエンジンを搭載し、イタリアのナルド・テストコースで2回のマラソンセッションを行い、多くの速度記録を樹立した。また、自然吸気の3.5Lやツインターボの4.8L V8ガソリンを搭載する車両もあった。後者は500ps近いパワーを発揮し、C 111の最高速度は実測で400km/hに達した。

メルセデス・ベンツC 111(1969年)
メルセデス・ベンツC 111(1969年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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