実現しなかったスーパーカー 45選 前編 文字通り「夢」に終わった幻のコンセプト
公開 : 2023.03.26 18:05
クライスラー・アトランティック(1995年)
レトロスタイルのアトランティックは、1930年代の高級車全般、特にブガッティ・タイプ57アトランティックへのオマージュである。現代においてスーパーカーとは言えないかもしれないが、1930年代におけるスーパーカーを現代的に解釈したものである。
4.0L直列8気筒エンジンというエキゾチックなパワートレインを積むが、実際にはクライスラー・ネオンのユニットを2基繋げたものである。1995年当時ですら、直列8気筒は半世紀も前に廃れていたため、これだけでもクライスラーが市販化に関心がないことがうかがえる。
フォードGT90(1995年)
GT90は、ジャガーXJ220のシャシーをベースに、独自の5.9L V12エンジンを搭載している。このエンジンがどのように作られたかは諸説あるが、フォード・モジュラーV8から派生したもので、4基のターボチャージャーの力を借りて720psを発生する。
モータースポーツで実際に活動したGT40やGT70とは異なり、GT90はあくまでコンセプトモデルである。しかし、当時の市販車とは対照的なシャープなデザインは、1990年代後半のフォードの「ニューエッジ」デザインの先駆けとなっている。
ランボルギーニ・カラ(1995年)
ランボルギーニ・カラほど、長期にわたる苦悩に耐えたクルマは少ないだろう。1995年のジュネーブ・モーターショーで、ディアブロの下のエントリーモデルとして発表されたカラは、イタルデザイン・ジウジアーロによって作られた。このデザインはもともと、ランボルギーニの元の親会社であるクライスラーから依頼されたものだった。
しかし、1998年にフォルクスワーゲン・グループがランボルギーニを買収すると、カラはあっけなくお蔵入りとなり、代わりにガヤルドの開発が始まった。カラはガヤルドと同じV10エンジンを搭載し、最高速度は290km/hとされていた。しかし、フォルクスワーゲンはさらなるパワーと四輪駆動、大胆なスタイリングを求め、ガヤルドで実現させたのだ。
ザガート・ラプター(1996年)
ザガート・ラプターは、ランボルギーニ・ディアブロの後継車となる可能性が十分にあった。ザガートとスイスの元アイススケルトン選手、アラン・ヴィッキ氏は、ランボルギーニ向けにディアブロをベースにしたコンセプトを考案し、四輪駆動と最高出力500psの6.0L V12エンジンを搭載した。
エクステリアには「ダブルバブル」ルーフが採用され、1996年のジュネーブ・モーターショーで賞賛を浴びた。しかし、ランボルギーニはあまり感心せず、「ノー・サンキュー」と断った。そこで、ヴィッキ氏は自身でこのプロジェクトを立ち上げようとしたが挫折し、2000年のオークションで唯一の車両を個人コレクターに売却した。