クライスラー・アトランティック(1995年)

レトロスタイルのアトランティックは、1930年代の高級車全般、特にブガッティ・タイプ57アトランティックへのオマージュである。現代においてスーパーカーとは言えないかもしれないが、1930年代におけるスーパーカーを現代的に解釈したものである。

4.0L直列8気筒エンジンというエキゾチックなパワートレインを積むが、実際にはクライスラー・ネオンのユニットを2基繋げたものである。1995年当時ですら、直列8気筒は半世紀も前に廃れていたため、これだけでもクライスラーが市販化に関心がないことがうかがえる。

クライスラー・アトランティック(1995年)
クライスラー・アトランティック(1995年)

フォードGT90(1995年)

GT90は、ジャガーXJ220のシャシーをベースに、独自の5.9L V12エンジンを搭載している。このエンジンがどのように作られたかは諸説あるが、フォード・モジュラーV8から派生したもので、4基のターボチャージャーの力を借りて720psを発生する。

モータースポーツで実際に活動したGT40やGT70とは異なり、GT90はあくまでコンセプトモデルである。しかし、当時の市販車とは対照的なシャープなデザインは、1990年代後半のフォードの「ニューエッジ」デザインの先駆けとなっている。

フォードGT90(1995年)
フォードGT90(1995年)

ランボルギーニ・カラ(1995年)

ランボルギーニ・カラほど、長期にわたる苦悩に耐えたクルマは少ないだろう。1995年のジュネーブ・モーターショーで、ディアブロの下のエントリーモデルとして発表されたカラは、イタルデザイン・ジウジアーロによって作られた。このデザインはもともと、ランボルギーニの元の親会社であるクライスラーから依頼されたものだった。

しかし、1998年にフォルクスワーゲン・グループがランボルギーニを買収すると、カラはあっけなくお蔵入りとなり、代わりにガヤルドの開発が始まった。カラはガヤルドと同じV10エンジンを搭載し、最高速度は290km/hとされていた。しかし、フォルクスワーゲンはさらなるパワーと四輪駆動、大胆なスタイリングを求め、ガヤルドで実現させたのだ。

ランボルギーニ・カラ(1995年)
ランボルギーニ・カラ(1995年)

ザガート・ラプター(1996年)

ザガート・ラプターは、ランボルギーニ・ディアブロの後継車となる可能性が十分にあった。ザガートとスイスの元アイススケルトン選手、アラン・ヴィッキ氏は、ランボルギーニ向けにディアブロをベースにしたコンセプトを考案し、四輪駆動と最高出力500psの6.0L V12エンジンを搭載した。

エクステリアには「ダブルバブル」ルーフが採用され、1996年のジュネーブ・モーターショーで賞賛を浴びた。しかし、ランボルギーニはあまり感心せず、「ノー・サンキュー」と断った。そこで、ヴィッキ氏は自身でこのプロジェクトを立ち上げようとしたが挫折し、2000年のオークションで唯一の車両を個人コレクターに売却した。

ザガート・ラプター(1996年)
ザガート・ラプター(1996年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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