シトロエン・オゼ(2001年)

オゼ(Osee)はフランス語で「大胆」という意味があり、マクラーレンF1のようなものを作ろうというシトロエンの野望を表現しているのだろう。ミドエンジンで後輪を駆動し、運転席がセンター、助手席がサイドのやや後方に位置する珍しい座席配置であることも、マクラーレンF1と共通している。

しかし、いくつか違いもあった。F1がシザードアであるのに対し、オゼはもっと冒険的なフロントヒンジのキャノピーを持つ。また、最高出力200psの3.0L V6エンジンは、BMW製V12よりもパワーが劣っている。最も大きな違いは、F1が限定生産されたのに対し、オゼはそうではなかったということだ。

シトロエン・オゼ(2001年)
シトロエン・オゼ(2001年)

フォルクスワーゲンW12ナルド(2001年)

ナルドは、フォルクスワーゲンの狭角VR6ユニット2基を組み合わせたW12エンジンを搭載する3台のスーパーカーのうち、最後の1台である。シンクロとロードスターで5.6Lだった排気量は、ナルドでは6.0Lに拡大され、出力も600psに引き上げられた。

その実力は、車名の由来となったイタリアのナルド・テストコースで24時間平均時速320km/h超を記録したことで見事に証明された。しかし、それを世間に知らしめるためには別の名前が必要だったかもしれない。後に発売された高級セダン、フェートンの売れ行きが芳しくなかったことから、どんなエンジンを積んでいようと「VW」のエンブレムには限界があったのかもしれない。

フォルクスワーゲンW12ナルド(2001年)
フォルクスワーゲンW12ナルド(2001年)

キャデラック・シエン(2002年)

シエン(Cien)はスペイン語で「百」を意味し、キャデラックの100周年を記念するコンセプトカーとしてふさわしい名称であった。シエンは、750psを発生する特別設計の7.5L V12エンジンをリアアクスルのすぐ前に搭載したドラマチックなスポーツカーだ。

米国車であるが、開発作業の多くは大西洋を隔てた英国で行われた。ロッキード・マーチンF-22ラプター戦闘機の影響を受けたスタイリングは、英コベントリーのGMアドバンスド・デザイン・スタジオで描かれ、エンジニアリング作業はそこから50km南のバンベリーにあるプロドライブ社で行われた。

キャデラック・シエン(2002年)
キャデラック・シエン(2002年)

キャデラック・シックスティーン(2003年)

キャデラック・シックスティーンは、マーベル・コミックに出てきそうな巨大なボンネットの下に、13.6L(1万3584cccc)のV16エンジンを搭載している。オートマチック・トランスミッションを介して後輪を駆動し、最高出力1000psを発生すると謳われていた。しかも、アクティブ・フューエル・マネージメントにより、巡航中に最大12本のシリンダーを停止させて4気筒で走行することも可能で、約7km/lの燃費を実現したという。

キャデラックはシックスティーンを限定生産しようとしていたが、エンジンと開発費が非現実的であった。しかし、シックスティーンのスタイリングは、その後のキャデラック車に多少なりとも影響を与えている。

キャデラック・シックスティーン(2003年)
キャデラック・シックスティーン(2003年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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