クライスラーME 4-12(2004年)

クライスラーはマッスルカーではなく、本格的なスーパーカーを作りたいと考えていた。2004年のデトロイト・モーターショーで発表されたME 4-12は、カーボンファイバー製のシャシーと、全体的に低くおさえたスタイリングが特徴的だ。パワートレインはメルセデス製V12ターボで、最高出力は862ps。

「クライスラー史上最も先進的なクルマ」と謳われたME 4-12は、量産も視野に入れて開発されたが、資金面で辻褄が合わなかった。そのため、ショーカーに留まった。

クライスラーME 4-12(2004年)
クライスラーME 4-12(2004年)

プジョー907(2004年)

907は、フェラーリ575Mマラネロメルセデス・ベンツSLRマクラーレンという2台のフロントエンジン・スーパーカーに対するプジョーの回答と言えるだろう。エンジンは、重量配分の観点から前輪の後ろに縦置きされ、既存の3.0L V6エンジン2基を組み合わせて作られた最高出力500psの5.9L V12である。

フォルクスワーゲンW12ナルドと同様、マラネロやSLRの顧客がプジョーのエンブレムにどれほどお金を用意するは疑わしいところだが、市販化には至らなかったためこの疑問も消えた。

プジョー907(2004年)
プジョー907(2004年)

フォード・シェルビーGR-1(2005年)

GR-1コンセプトは、1960年代半ばのコブラベースのシェルビー・デイトナ・クーペに似ているが(特にリアエンド)、600ps強を発生するとされる6.4L V10エンジンを搭載した、徹底的にモダンなクルマであった。

フォードは量産化を考えていなかったようだが、コブラ、フォードGT40、シボレーコルベットを独自に製造する米フロリダ州ジュピターのスーパーフォーマンス社は、2019年1月にGR-1を販売(最高出力760psのフォード製V8を搭載)すると発表した。

フォード・シェルビーGR-1(2005年)
フォード・シェルビーGR-1(2005年)

マセラティ・バードケージ(2005年)

2005年、マセラティ創立75周年を記念して製作されたマセラティ・バードケージは、誕生日プレゼントとしては最高の贈り物であった。ピニンファリーナがスタイリングし、マセラティの歴史上最も象徴的な「バードケージ」の名を冠したスーパーカーで、販売されていれば大成功は間違いないだろう。MC12をベースに、フェラーリ・エンツォ譲りのV12エンジンを搭載し、最高出力710psを発揮する。

1950年代のレーシングカーであるバードケージとは異なり、コックピットは完全に閉じられ、キャノピー全体を持ち上げて乗降する仕組みになっている。また、数台のカメラが設置され、車外の人たちとドライビング体験を共有することができるなど先進的な機能を備えている。しかし、コンセプトである以上、単なる夢物語でしかない。大空を羽ばたく姿は見られないのだろうか。

マセラティ・バードケージ(2005年)
マセラティ・バードケージ(2005年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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