実現しなかったスーパーカー 45選 後編 文字通り「夢」に終わった幻のコンセプト
公開 : 2023.03.26 18:25
マイバッハ・エクセレロ(2005年)
マイバッハ・エクセレロはデザイナーの空想の産物ではなく、350km/h以上で走ることを前提につくられた実験台だ。ドイツのタイヤメーカー、フルダがメルセデスに持ちかけたのは、最新の高性能タイヤをテストするためのクルマが必要だという話であった。その結果、マイバッハの5.9L V12ツインターボエンジンを搭載し、最高出力700psにチューニングしたエクセレロが誕生した。
最高速度350km/h、0-100km/h加速4.4秒というフルダの要求を満たすには十分なパワーを誇る。315/25ZR23のタイヤとユニークなアロイホイールが装着されている。ワンオフ車としては珍しく売却され、現在はドイツのレストア業者メカトロニック(Mechatronik)が所有しているようだ。
ランボルギーニ・ミウラ・コンセプト(2006年)
その名の通り、1966年に発表されたランボルギーニ・ミウラが原型となったモデルだ。デビュー40周年を迎えたミウラは、ワルテル・デ・シルヴァ氏によって、滑らかなスタイリングを与えられた。クラシカルな外観の下にはムルシエラゴと同じプラットフォームが隠されており、6.2L V12が搭載された。
しかし、エンジンはオリジナルのように横置きではなく、縦置きとされた。販売を望む声もあったが、ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOは、「当社は後ろではなく、前を向いている」と語り、発売を否定した。
アキュラASCC(2007年)
ホンダNSXの生産は2022年に幕を閉じたが、初代モデルと並んで高く評価されている。ホンダは初代の生産終了後、後継モデルの可能性を予告していた時期が長くあった。その最たるものが、米国向けの高級車部門アキュラから出されたASCCである。4.5L V10エンジンなど、興味をそそる要素を数多く備えていた。
VTECエンジンの最高出力は500psを超え、最高速度は320km以上と言われていた。四輪駆動も導入し、価格も手ごろになるはずだった。しかし、ASCCは実現されず、ホンダがファンの期待に応えるまでさらに10年を要した。
マツダ風籟(2007年)
現在はテスラで活躍するデザイナー、フランツ・フォン・ホルツハウゼン(1968年生まれ)がマツダで線を引いた「風籟(ふうらい、Furai)」は、「これまでストリートカーとレーシングカーを区別してきた境界線を、意図的に曖昧にしている」という。マツダのデザイン哲学「NAGARE(流)」に基づく新しいボディは、スタイリングとエアロダイナミクスを重視したものだった。
エンジンはエタノールを燃料とするトリプルローターのロータリーエンジンで、最高出力456psを発生する。しかし、2008年に自動車メディア『トップ・ギア』の撮影中に唯一の実車が焼失してしまったため、現在では幻と化している。