実現しなかったスーパーカー 45選 後編 文字通り「夢」に終わった幻のコンセプト
公開 : 2023.03.26 18:25
BMW M1オマージュ(2008年)
M1でスーパーカーを作ろうとして痛い目にあってから30年、BMWは2008年の自動車イベント「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」でM1オマージュを披露した。同イベントはクラシックカーとコンセプトカーが集うショーで、BMWがM1を売り込むのに理想的な場所だった。
結果として、M1オマージュはショーカーに過ぎなかったが、2009年のビジョン・エフィシエント・ダイナミクス・コンセプトに影響を与え、最終的にハイブリッド車のi8が誕生した。
サリーンS5Sラプター(2008年)
1983年の創業以来、多くのハイパフォーマンスモデルを世に送り出してきたサリーンだが、S5Sラプターは、かつて約18万5000ドルで販売されるという話があったにもかかわらず、コンセプトに終わってしまった1台だ。かなり高額に思えるが、ツインターボのサリーンS7と比べると、その3分の1程度に過ぎない。
このことからも、S5Sラプターは相対的にジュニアモデルと言えるが、性能的にむしろS7を凌ぐところもあった。5.0L V8スーパーチャージャーをミドマウントし、出力は650psとされている。
ブガッティ16Cガリビエール(2009年)
現在のブガッティブランド(1998年設立)が販売するクルマはすべてミドエンジンだが、もし16Cガリビエールが量産化されていたら、歴史は少し違っていただろう。当時ヴェイロンに搭載されていたものと同じ8.0L W16エンジン(ベントレー・ユーノディエールやアウディ・ローゼマイヤーで予告)を使用するが、4基のターボではなく、2基のスーパーチャージャーを備えているのだ。
重要なことに、16Cガリビエール発売はあと少しで実現するところであった。ブガッティはもともと量産を計画しており、2016年には、当時のウォルフガング・デュルハイマーCEOが量産を再考していると報じられたが、その後何の音沙汰もない。
ジャガーC-X75(2010年)
ジャガーC-X75は2010年のパリ・モーターショーで公開された。現代的なスーパーカーでありながら、各車輪にモーターを搭載し、小型ガスタービンエンジンをレンジエクステンダー(発電機)として使用することで、電動化の流れを予見していた。このパワートレインにより、最高速度320km/h、バッテリー航続距離50kmを実現する。
F1で有名な英ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社も開発に協力し、ジャガーはフェラーリやランボルギーニと肩を並べる存在になるかに見えた。しかし、経済情勢が逆風となり、70万ポンドという予定価格もあり、実現は不可能になってしまう。C-X75が街中を走り抜ける姿は、映画『007スペクター(原題: Spectre)』で見ることができる。中身は5.0L V8スーパーチャージャーに変わっているが、アストン マーティンとのカーチェイスはぜひチェックしてほしい。