XK120以来の大きな節目 ジャガーFタイプ・コンバーチブル 75 P450へ試乗 大人な魅力
公開 : 2023.04.05 08:25
遂にあと1年で最後を迎える、Fタイプ。節目を記念した特別仕様の「75」を、英国編集部が評価しました。
XK120以来の節目となるFタイプの終了
ジャガーはすべてのモデルをバッテリーEV(BEV)へ切り替えるため、着実に歩みを進めている。美しい2シーターのFタイプへアップデートを加えるのも、これが最後になるようだ。
Fタイプの生産は、約1年後の2024年前半に終了する予定。1948年のXK120以来、ガソリンエンジンで走るスポーツカーを75年間も生み出し続けてきたジャガーの歴史へ、1つの大きな節目が刻まれることになる。
ジャガーにとっては、誇るべきヘリテイジといえる。ブランドにとって見逃すことのできないマイルストーンとして、Fタイプに「75」という特別仕様が設定されても不思議ではないだろう。
基本的に、メカニズム面で目立った改良は加えられていない。2020年にFタイプはフェイスリフトを受けているが、75では最新の排出ガス規制に対応するべく、エンジンの制御系に僅かなチューニングが加えられた程度だ。
もちろん、視覚的な差別化はおろそかになっていない。P450では5スポーク、R P575では10スポークとなる、グロスブラックの専用アルミホイールを履き、フロントグリルやエンブレムがブラックアウトされる。
12ウェイのウィンザー・レザーシートが標準装備され、フロントフェンダーやサイドシル・プレート、ダッシュボードなどに専用ロゴがあしらわれる。専用色として、ジオラ・グリーンメタリックも追加された。「慎重に厳選した」とジャガーは説明する。
P450なら右足を存分に動かせる
動的能力が引き上げられる内容ではないが、5.0L V8エンジンを積んだFタイプの魅力は最後まで変わらないはず。ちなみに、2.0L直4エンジンのP300は、従来どおりRダイナミック仕様で購入もできる。
今回は最高出力450psを誇る、Fタイプ・コンバーチブル 75 P450の後輪駆動版へ試乗させていただいた。実際、スーパーチャージャーで過給されるV8エンジンはエキサイティングだ。
以前の体験を振り返り、確かに575psのR P575と比較すれば、怒涛の加速を得るにはより高い回転数まで引っ張る必要がある。だがそれは、右足を存分に動かせ、長時間サウンドを鑑賞できるということでもある。
現行のFタイプには微粒子フィルターが追加され、排気系の音響的な刺激は穏やかになっているものの、従来を知っていればというレベル。スポーツエグゾーストのバルブを開けば、まだまだ存分に騒がしい。ルーフが開くコンバーチブルなら、なお一層。
ただし、軽さが売りの軽快なスポーツカーというわけではない。ガソリンを満タンにしてドライバーが座れば、1.8tに迫ってしまう。ポルシェ911 カレラ・カブリオレが1650kgなのに対し、車重は1718kgある。
ダイナミック・モードを選べば、サスペンションが引き締まり、ステアリングホイールの感触が重くなる。それでも操舵時のレスポンスは、完璧な敏捷性や落ち着きを感じさせるものではない。