ランボルギーニやフェラーリに朗報 欧州CO2規制、軌道修正 スーパーカーの主流はPHEVに?
公開 : 2023.03.29 05:45
欧州CO2規制がドイツの要請で軌道修正。今後、スーパーカーの主流はプラグインハイブリッドになると筆者は予想します。
早期決着 業界内では驚きの声
「なるほど、あの時の発言は、こうした流れに対する布石だったのかもしれない」
欧州でのCO2規制がドイツの要請により修正されるとの報道を知って、2022年11月にランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOと直接話した時の、彼の表情を思い出した……。
まずは、欧州でのCO2規制に関する報道から見ていく。
直近では、2023年3月25日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)のフランス・ティメルマンス上級副委員長が「われわれ(EC)はドイツと将来のeフューエルの使用について合意した」とツイートした。
さらに、「EUの自動車向けCO2規制について早急に対応をおこない、ECとして速やかに法的なステップを踏む」とも記した。
ティメルマンス上級副委員長は、EUが2019年に掲げたCO2削減政策である「欧州グリーンディール」を取りまとめる立場にある。
このツイートについて、日本を含む世界の自動車産業界の関係者の多くは「織り込み済みだったとしても、ここまで早く決着がつくとは驚きだ」という見方が強い。
こうしたEUの方針転換は、ランボルギーニをはじめとした、いわゆるスーパーカーメーカーにどのような影響を及ぼすのであろうか?
日本と欧州のCO2規制 違いは?
スーパーカーメーカーへの影響を考える前に、欧州グリーンディール政策の自動車関連の規制について、これまでの動きを整理しておきたい。
欧州グリーンディール政策の基本は、2050年のカーボンニュートラルである。
同様の政策として、日本には、菅政権で経済産業省が2020年12月に公表した「グリーン成長戦略」や、現在の岸田政権で2023年2月に閣議決定された「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」がある。
日本の場合、自動車関連については「2035年までに、国内で販売する乗用車の新車100%を電動化する」としている。
ただし、これまであくまでも達成目標であって、未達の場合に自動車メーカーにペナルティを課すような規制ではない。さらに、電動化の中身については、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含む。
また、実質的なカーボンニュートラルであるカーボンニュートラル燃料や水素を燃料として使う内燃機関についても、日本自動車工業会と協議を進めていくという、政府の姿勢がある。
日本自動車工業会では「カーボンニュートラルへは、マルチパスウェイ(さまざまな道)があるべき」という見解を一貫して示してきた。