ランボルギーニやフェラーリに朗報 欧州CO2規制、軌道修正 スーパーカーの主流はPHEVに?

公開 : 2023.03.29 05:45

ドイツの要請で法案が覆った……

一方で、欧州グリーンディール政策では、自動車関連を含んだ政策パッケージ「フィット・フォー・55」が重要視されている。

フィット・フォー・55とは、欧州域内で販売される新車乗用車は2030年までに1990年比でCO2排出量を55%削減するというものだ。

ランボルギーニが公開した6.5L V12エンジンを搭載するワンオフモデル「オーテンティカ」。2人の顧客のために作った最後のV12モデルをつむ限定車だ。
ランボルギーニが公開した6.5L V12エンジンを搭載するワンオフモデル「オーテンティカ」。2人の顧客のために作った最後のV12モデルをつむ限定車だ。

その延長上には「2035年までに乗用車と小型商用車(バン)で同100%削減」と規定した。

これが事実上、EVまたは燃料電池車に限定することになる。

欧州議会は2022年6月に、そうした考えについて採択しているが、メルセデス・ベンツグループ、BMWフォルクスワーゲングループという欧州最大の自動車産業を持つドイツは充電インフラ整備が間に合わないことなどを理由に、反対の姿勢を示した。

さらに、欧州議会では2023年2月14日、同法案を可決したのだが、その10日後にドイツは「2035年以降はeフューエルを活用するなど修正が必要」との要請を欧州議会に出していた。

そして今回、EUとドイツが「手打ち」をしたというわけだ。

こうした決着は、フォルクスワーゲングループのランボルギーニだけではなく、フェラーリなど欧州スーパーカーメーカーにとっては、プラス効果があると思われる。

スーパーカー 主流はPHEVに?

ランボルギーニの場合、中期経営計画「コル・タウリ」の中で、2024年時点で発売するすべての新型車をプラグインハイブリッド車(PHEV)にすると記載している。

また、2028年にはフォルクスワーゲングループ内での車体や電動部品の共通性がある、4ドアスポーツカータイプのランボルギーニ初となるEVを量産する。

ランボルギーニは、アヴェンタドールの後継モデルの発表を間近に控える。次世代のフラッグシップモデルとして、伝統のV12を電動化したPHEVになる見込み。画像は予想レンダリングCG。筆者は欧州の方針転換で、今後のスーパーカーの主流はPHEVになると予想する。
ランボルギーニは、アヴェンタドールの後継モデルの発表を間近に控える。次世代のフラッグシップモデルとして、伝統のV12を電動化したPHEVになる見込み。画像は予想レンダリングCG。筆者は欧州の方針転換で、今後のスーパーカーの主流はPHEVになると予想する。    AUTOCAR

また、ヴィンケルマンCEOは2022年11月の来日時「カーボンニュートラル燃料の活用も今後、われわれのようなメーカー(=スーパーカーメーカー)にとっては良き選択肢になるはずである」と発言している。

やはり、感性に訴えるタイプのスーパーカーでは、完全なEVだけではなくEVに比べて車両重量も軽く運動性が良く、V12やV8のサウンドと振動を車内外で体感できる、内燃機関+モーターというパワートレインを支持するユーザーが今後も持続的に増えていく、という見方ができるだろう。

つまり、将来のスーパーカーの主流は、プラグインハイブリッド車になる可能性が高い。

なお、再生可能エネルギー由来のeフューエルは、その定義は不明瞭との声が業界内にある。

総称としてのカーボンニュートラル燃料の技術的な解釈と、技術的な進化については今後、業界内でさらなる協議が必要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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