ちなみに乾燥重量はジャガーの方がポルシェよりも249kg重い。したがって、止まるにしても、曲がるにしても、はたまたコーナーから抜け出すにしても、大柄な大人3人分のエクストラ・ウエイトを引っ提げてこなさなければならない。

もちろん ’あの’ 魅力的なエグゾースト・ノートや出力だけではケイマンに太刀打ちできないのは明白だけれども、こうしたハンデを抱えながらも、ケイマンにどう対抗してくるのか、という点もこのチャプターでの見どころ。

面白いことに、詳細なタイムは置いておいて、直線を走らせた際に速く感じるのは実はF-タイプの方なのだ。もちろんイニシャル・トラクションの優れるケイマンの方が数値的には速いのだけれど、感覚的には明らかに速く感じられるのはF-タイプの特徴の一つでもある。

並べてみると、ジャガーの方がエッジがあるデザインと言えるだろう。ポルシェの内側から鉄板を押し出すようなライン(もちろんこちらも美しい)に見慣れているとなおさらである。

F-タイプの最大トルクは3500rpmから5000rpmの間で46.9kg-mを発生。対するケイマンは4750rpmにて38.9kg-mとなっている。

またケイマンのギアボックスは驚くほどロング・ギアードな設定となっているが、ジャガーの8速ATは ’超’ クロース・レシオ。人間がシフトチェンジをするよりも、速く的確なのは言うまでもない。

ポルシェのギアボックスも、標準的なものに較べてややスポーティーになっているが、PDKを追加すればより一層迅速で巧みな変速をすることができる(というよりも、してくれる)。しかし既に高価なケイマンGTSが更に高く付くことを考えれば、もしくは既にスイートなマニュアル・ギアボックスを考えれば、このモデルの場合わざわざ追加する必要はないかもしれない。それほどにマニュアル操作が気持ちいいのだ。

エグゾースト・サウンドはポルシェが純粋な意味で脅迫的なのに対して、ジャガーは明らかに演出的。後者は5000rpmをピークにバリバリと威嚇するようなサウンドを轟かせる。外観同様にジャガーの方が、’外交的’ と表現するのが妥当だろう。

ちなみにケイマンGTSの最高速度は285km/h、F-タイプV6 Sクーペは275km/h。CO2排出量は前者が211g/km、後者が213g/kmと、どちらもポルシェの方が優勢だ。