ポルシェ・ケイマンGTS vs ジャガーF-タイプ・クーペ
公開 : 2014.09.24 23:50 更新 : 2017.05.29 19:33
ケイマンのエンジンは6000rpmをピークに、2000rpmからニヤリとする余裕もないほどの獰猛な回転フィールを披露してくれる。その間のスロットル・レスポンスは切れ味鋭い刃物のごとくシャープ。シャシーの仕立ての良さがいか程かを痛感する瞬間だ。ピーク時にはF-タイプのどこをとっても、その速さで優っている。
それに対してF-タイプは、どちらかと言うと苦労知らずにパワーを引き出せる方向性。大らかかつ、寛容にドライバーの入力に反応する。
ただし炸裂感に関してはF-タイプの占有地帯。フィジカル、メンタルの両方において、荒れ狂った性格をこれでもかと表現してくれる。ポルシェはドライバーと密な関係性を持ってパワーを引き出す性格。対するジャガーはリラックスしながら、とんでもないパワーを引き出せるといった所だろうか。
操舵、乗り心地、ブレーキングの全てにおいて一歩うえをゆくのはケイマンの方。やはりこれに関してはポルシェに一日の長があるのは事実だ。
もちろんF-タイプ単体でみれば、完成度は高い。ステアリングの重さは適切で、目標としているラインに鼻先を向けることができる点は、レザーの仕立てとともに、乗っていて気持よくなれる要素のひとつだ。
(V8のF-タイプの方がもう少し生き生きとしているけれど)、アンダーステアやオーバーステアの抑制も見事。ブレーキの制動フィールも、約1600kgのスポーツカーとしての合格水準はきっちりとクリアしている。
しかし敏捷性、シャープネス、安定感の3つはケイマンの方が優れるているのは、F-タイプの車重ゆえ。とくにケイマンからF-タイプに乗り換えた直後は、そのネガを明確に感じさせられる。
根本的な粘り強さや、スロットルの微妙な操作に順々に答えてくれるのは、ケイマンGTSの方だ。とくに5500rpmからレブリミットの7900rpmでそう感じさせられることが多く、この回転域ではシャシーのフィールもガラリと変わる。
スロットル開度だけで曲がっていくことができる、と表現するのがこの際は適切。細胞のひとつひとつを明確に視認できるように、クルマの挙動を手中で思うままに操ることができるのだ。
公道よりもサーキットの方が、ケイマンGTSが活躍する場が増えるだろう。購入した暁には、一般道でうずうずとしていた気持ちを一気に晴らして頂きたい。