5年目の改良で106kWh/531kmに アウディQ8 55 eトロンへ試乗 居心地も走りも快適
公開 : 2023.04.13 08:25 更新 : 2023.09.22 18:48
従来のeトロン改め、Q8 eトロンを名乗るBEV SUV。航続距離を伸ばした改良版の実力を、英国編集部が確かめました。
もくじ
ーアウディのBEVは偶数のモデル名に
ーバッテリーは89kWhから106kWhへ増量
ーハンサムで上品 均整の取れたプロポーション
ーアップデートで足回りはスポーティに
ーアウディQ8 55 eトロン・スポーツ(英国仕様)のスペック
アウディのBEVは偶数のモデル名に
Q8 eトロンと聞いて、アウディの新モデルかと勘違いする読者もいらっしゃるだろう。だがこれは、内燃エンジンで走る大型SUV、アウディQ8に追加されたバッテリーEV(BEV)版ではない。
同社初の量産BEVとして2018年に発売された、eトロンの名前が改められたもの。5年前、150kWという急速充電能力へ注目が集まったが、航続距離はそこまででもなかった。増えるライバルへ伍するべく、競争力を高めるアップデートが施されている。
新しいモデル名を得たことで、アウディのBEVラインナップが整理されることになる。既に販売中の小型SUV、Q4 eトロンと、間もなく登場する予定のQ6 eトロンとの関係性がはっきりする。
ちなみにアウディは今後、BEVのモデル名には偶数を、内燃エンジンには奇数を与えると発表している。つまり、SUVのQ8はBEVとして定着することになる。従来のQ8は、Q7 スポーツバックやQ9などを名乗ることになるのだろう。
今回のアップデートでは新しいアルミホイールを得たり、前後のバンパーやフロントグリルのデザインへ手が加えられるなど、一般的な見た目のリフレッシュも図られている。だが、最大のトピックはボディの内側、パワートレインにある。
バッテリーは89kWhから106kWhへ増量
駆動用バッテリーは、eトロンが発売されて以降の技術進歩で、高いエネルギー密度を実現している。そのため、エントリーグレードの50で実容量が71kWhから89kWhへ、55では89kWhから106kWhへ、2割ほど増えている。
加えて駆動用モーターを改良し、空力特性を磨いたことで、エネルギー効率を改善したとアウディは主張する。ちなみに、高性能なSQ8 eトロンも同様に106kWhの駆動用バッテリーを得ている。
とはいえQ8 eトロン 55で4.1km/kWhという電費は、競合モデルと比べて高いとはいえないだろう。穏やかな気候の日に試乗した今回は、平均で3.4km/kWhという数字がメーター用モニターに表示されていた。
この効率で航続距離を計算すると、約358kmになる。カタログ値では、531kmがうたわれるのだが。
急速充電能力も従来から向上し、最大で170kWまで対応するようになった。間違いなく有効とはいえ、ジェネシス・エレクトリファイドGV70の場合、最大240kWを実現している。その差が小さいとはいえないだろう。
ほかにも、ステアリングレシオがクイックになり、エアサスペンションにチューニングが施されてもいる。スタビリティとトラクションの電子制御も、より有能になったという。