5年目の改良で106kWh/531kmに アウディQ8 55 eトロンへ試乗 居心地も走りも快適
公開 : 2023.04.13 08:25 更新 : 2023.09.22 18:48
ハンサムで上品 均整の取れたプロポーション
Q8 55 eトロンを目の当たりにすると、ハンサムで、適度に上品で、均整の取れたプロポーションが好ましい。もっとも、これは従来から変わらない。
インテリアに大きな変更は受けていない。製造品質は高く、内装素材は上質で、居心地が良い。ダッシュボードの中央には、2段に重なったタッチモニターが据えられる。実際に押せるスイッチ類の方が使い勝手では優れると思うが、エアコンも操作しやすい。
試乗車に据えられていたスポーツシートは、座り心地も快適。小物入れや荷室など、実用性も高いままだ。
発進させてみても、快適な印象は続く。0-100km/h加速は5.6秒と不足なく速いものの、テスラのラピッド仕様のように、過激なアクセルレスポンスへ気を使う必要はない。
ステアリングホイールの裏にはパドルが備わり、回生ブレーキの強さをドライバーが選べる。アダプティブ・モードにすれば、状況に応じてQ8 eトロンへ強さを自動的に調整させることも可能だ。
試乗車には、カメラ映像を用いたバーチャル・ミラーが装備されていた。小ぶりなぶん、航続距離を8kmほど伸ばせるという。高速域での風切り音も低減できるそうだが、アウトバーンの領域でないと効果は感じにくいようだ。
外界との遮音性は高く、走行中の車内は静か。大径なアルミホイールを履いているにも関わらず、ワダチに進路が取られたり、くぼみで強い衝撃が伝わることもない。
しかしアフリカの西、ランサローテ島の滑らかな路面でも、落ち着きが若干乏しい印象ではあった。エアサスを備える高級なSUVとしては、だが。
アップデートで足回りはスポーティに
アウディの技術者は、メルセデス・ベンツやレンジローバーとは異なり、路面の変化を感じ取れるのは意図的な設定だと説明していた。舗装の管理が良いドイツなら、大きな問題にはならないだろう。だが英国や日本の場合は、揺れが気になるかもしれない。
今回のアップデートでは、足回りはスポーティな方向へ振られたようだが、Q8 55 eトロンはスポーティなSUVとはいえない。ボディは大きく重すぎる。
グリップ力は高く姿勢制御は引き締まり、ステアリングの重み付けは好ましい。僅かにリアタイヤ側が主導の操縦性も味わえる。それでも、カーブを攻め込みたいとは思いにくい。
Q8 eトロンの英国価格は、50で6万7800ポンド(約1091万円)から。SQ8 eトロンでは9万7500ポンド(約1569万円)からに設定された。クーペ風のスポーツバックの場合、2500ポンド(約40万円)が上乗せになる。
直接的なライバル、BMW iXと比較すると、xドライブ40が動力性能では55と互角。この場合、BMWの方が価格は若干安く、車内空間では有利だが、航続距離は短い。それぞれの長所はあるものの、このクラスの最高水準には達していないといえる。
メルセデス・ベンツEQEやジャガーIペイスなども、比較対象になるだろう。エレクトリファイドGV70は、ボディサイズは小さいが、より速く、エネルギー効率も高い。比べれば航続距離が短いとはいえ、英国価格は1万ポンド(約161万円)もお手頃だ。
アウディQ8 55 eトロン・スポーツ(英国仕様)のスペック
英国価格:8万300ポンド(約1292万円)
全長:4915mm
全幅:1937mm
全高:1633mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:531km
電費:4.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2510kg
パワートレイン:ツイン非同期モーター
駆動用バッテリー:106kWh
最高出力:407ps(システム総合)
最大トルク:67.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:−