日産スカイラインGT-R 亡き父が30年所有 家族の思い出と共に奪われる 直前に怪しい外国人が買取希望

公開 : 2023.03.31 10:02  更新 : 2023.03.31 10:05

30年をともにした亡き父の日産スカイラインGT-R(R32)が盗難にあいました。家族は悲しみに暮れています。

群馬県前橋市で3月末の雨の夜に盗難

2023年3月24日(金)深夜〜3月25日(土)の明け方にかけて、前橋市内の民家に隣接した駐車場で平成4年登録の日産スカイラインGT-Rが盗まれてしまった。

いつ、クルマがないことに気づいたのか。被害者家族の長女Aさんに話を聞いた。

盗難にあった平成4年登録の日産スカイラインGT-R。
盗難にあった平成4年登録の日産スカイラインGT-R。

「26日は日曜日で昼過ぎに外出しようとして玄関から外に出たときにGT-Rがなくなっていることに気づきました。最後に見たのは金曜日の夜です。土曜日がずっと雨だったこともあって外出は下のですが傘をさしていたので駐車場のクルマが視界に入らず……」

クルマがない! 最初に気づいたのはAさんのお母様と妹さんだった。その時は普段乗っているフィットに乗って出かけようとしていたのだが、駐車場にあるはずのGT-Rがない……そして、駐車場にはバッテリーだけが残されていた。

「ああ、これは盗まれた! と思ってすぐに警察に連絡しました。警察官が来て事情聴取をしてくれたのですが……。言動が最初から残念でした。被害届を出したときも『無理だと思いますよ~』『コンテナ載せられたら終わりですから』って」

「クルマを盗難されているのに、ちゃんと調べてももらえないんだ。一所懸命には探してもらえないんだってすごくがっかりしました」

「『黒いGT-Rを見かけても1台1台とめて話を聞くことなんてできませんから』とも言われました」(Aさん)

警察は頼れない。自分たちで探すしかない。と、お母様と姉妹は動き出した。まずはツイッターに盗難の事実を投稿した。凄まじい勢いで拡散されて行き驚いたという。

盗難されたことを知らせる最初のツイートは3月26日夜9時に投稿されてアッという間にインプレッションが100万を超えて、4日経った30日夜には292万。リツイートも3万に達した。

30年以上乗ってきた家族の思い出のクルマ

Aさんの母親のツイートには以下のことが書かれてあった。

「1年半前に他界した夫の愛車が昨晩盗まれました。娘達が生まれる前から乗っていて家族を運んでくれた大切な車です。拡散、よろしくお願いします」

盗難されたことを知らせるツイート。
盗難されたことを知らせるツイート。

筆者もそうだが、「1年半前に他界した夫の……」に始まるツイートに強い怒りと悔しさを感じた人は少なくないだろう。

Aさん一家にとって、GT-Rはどんな存在だったのか。ご家族にお話を伺った。

「父は若い頃、品川にある日産ディーラーで整備士をしていました。GT-Rは整備士をやめた後に買ったと思います」

「IT関係の仕事に転職したあとも、ずっと大切にしていて自分で整備していました。私と妹は父が洗車したりワックスを掛けて磨いたりするときに手伝っていましたね」

「生まれたときからGT-Rが家にあって、2ドアのスポーツカーがファミリーカーでした。お友達の家のクルマはドアが4枚あって乗り降りがしやすくていいなあ、思うこともありましたが、父と同じクルマを街中で見ることもあまりありませんし、エンジンの音が低音で響く感じが好きでした。家族で色々なところにGT-Rで出かけました」(長女Aさん)

「夫は自分でチューニングやパーツの交換をしていました。神奈川県内の坂道が多い地域に引っ越してから、クラッチが重くて坂道発進が怖いと言ったら元に戻してくれました」

「亡くなる前はあまり乗っていなかったです。理由はペイントが剥げてボロボロになっていてオールペンしないと恥ずかしくて乗れないな、って。早くきれいにしたいと言っていました」(Aさんのお母様)

所有者である父親が亡くなったあとは母親と姉妹の3人で、家族の思い出がいっぱいつまったGT-Rを維持していこうと、月に1〜2回はエンジンをかけ、少し近所を走ることもあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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