最も合理的で優れたステーションワゴン 10選 必要なものがすべて揃った1台

公開 : 2023.04.01 18:25

4. フォード・フォーカス・エステート

今回選抜した10台の中で、最も価格設定の安いフォード・フォーカス・エステート。全長約4.7mと、従来のハッチバックよりもボディが大幅に拡大されたこともあり、走りの魅力と実用性の両面で高く評価できる。ラゲッジ容量はハッチバックの375Lから608Lに増加しており、シートをフラットにすると1653Lに達する。

長距離も移動するファミリーカーとして使用する場合も、アダプティブダンパーによって粗くなりがちな乗り心地を和らげてくれる。スポーティなSTバージョンも、ディーゼルとガソリンの両方から選べ、後者では最高出力280psを発揮する。どのモデルを選んでも、フォーカス・エステートは、家族を持つことが運転の楽しさを捨てることではないということを、4本のタイヤで証明してくれる。

4. フォード・フォーカス・エステート
4. フォード・フォーカス・エステート

5. メルセデス・ベンツEクラス・エステート(ステーションワゴン)

Eクラスにはクーペとセダンもあるが、エステートほど説得力のあるクルマがあるだろうか。というのも、大型ベンツの役割が家族全員を快適に運ぶことであるならば、エステート(ステーションワゴン)はお金をかけるべきところだからだ。

今回の10台の中で、メルセデスの圧倒的な積載量に対抗できるのは先述のスコダだけである。40/20/40分割可倒式リアシートを折りたたむと、1820Lの広大なフラットフロアが出現する(ただし、他のモデルと同様、PHEVでは大型バッテリーを搭載する必要があるため、容量は小さくなっている)。荷室形状もよく、低いトランクフロアや電動テールゲートなど、荷物を運びやすくする工夫が施されている。

5. メルセデス・ベンツEクラス・エステート(ステーションワゴン)
5. メルセデス・ベンツEクラス・エステート(ステーションワゴン)

Eクラス・エステートの乗り心地は洗練され、運転操作も楽なので、助手席に座っているのと同じようにリラックスできる。加えて、大パワー(E 63 S)やディーゼルPHEV(E 300de)も用意されている。その中で最も優れているのは、筋肉質でスマートなE 400dであり、信頼感のある4マチック全輪駆動が装備されている。

6. ボルボV90

V90で5km走るだけで、このクルマを設計する際にボルボがどこに優先順位を置いていたかがよくわかる。高いウエストラインと厚みのあるダッシュボードが乗員を包み込み、V90はこの上なく堅牢で安心感のあるラグジュアリーカーだと感じられる。乗り心地は、外界からの遮断を約束するもので、低速域ではサスペンションがやや脆く感じられるものの、ハイウェイの長距離クルーザーとしては最高レベルにある。

他にこれほどスタイリッシュで快適な走りができるクルマは少ない。しかし、ボディコントロールは緩く、ドライビングコントロールもやや不正確で、4気筒エンジンが比較的粗いため、最終的には他車に遅れをとってしまう。英国では、パワートレインは4気筒ガソリンまたはディーゼル、そしてPHEVのT6リチャージがある。T6リチャージは特に編集部お気に入りの1台で、大型の18.8kWhバッテリーを追加することで、60kmを超えるEV走行距離と充実した税制優遇(英国では社用車税が安くなる)を得られるためだ。

6. ボルボV90
6. ボルボV90

不満があるとすれば、それはV90が特に効果的な荷物運搬車ではないという事実だろう。もし、ボルボのステーションワゴンと聞いて、200シリーズや700シリーズといった骨董品クラスの角ばったクルマを連想するなら、きっと失望することだろう。V90の積載量は、リアシートを立てた状態で551L、たたんだ状態で1517Lで、スコダ・オクタビアのような数クラス下の他車に譲らなければならない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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