韓国版軽自動車は1.0L キア・レイへ試乗 英国にも欲しい 飾らない姿が魅力的

公開 : 2023.04.10 08:25

韓国キアが自国で展開する軽自動車、レイ。ロー・エミッションのシティカーとして、欧州でも通用すると英国編集部は評価します。

お手頃なシティカー 見た目以上に広い車内

数年前まで韓国のキアといえば、冴えない低価格なモデルを提供する自動車メーカーだった。母国以外では、殆ど知られていなかった。しかし、バッテリーEV(BEV)のEV6など、競争力あるモデルの発売でイメージは一変している。

それでも、お手頃価格のクルマを韓国市民に提供するという、従来のスタンスも維持している。混雑したソウルを訪れれば、大きなバスやSUVと入り乱れるように、小さなシティカー、レイが元気よく走る姿を目撃できる。

キア・レイ(韓国仕様)
キア・レイ(韓国仕様)

このレイにはBEV版も存在し、シティカーとして充分な138kmの航続距離を備える。今回の試乗車のように、同じデザインで内燃エンジン版も選べるものの、近年はBEV版の方が存在感を強めているようだ。

レイの現地価格は、1390万ウォン(約139万円)から。全長は3595mm、全幅は1595mm、全高は1700mmと、かなり小さく背が高い。レンジローバー・イヴォークより全高があると聞けば、のっぽぶりが想像できるだろう。

フロアはフラットで、パワートレインはボディの隅へコンパクトにまとめられている。車内空間は見た目以上に広い。実際に乗り込んでみると、その開放感には驚かされる。荷室は限られるとはいえ、大人4名が充分に過ごせる。

運転席とステアリングホイールの調整域は大きく、快適な運転姿勢を取りやすい。長時間の運転も苦ではないだろう。目線の位置が高く視界は良好で、入り組んだ市街地や駐車場でも扱いやすく感じるはず。

標準装備は充実 エンジンはNA 1.0L 3気筒

標準装備は、同等クラスのベーシックな欧州車と比べると充実している。パワーウィンドウとエアコンはもちろんだが、ダッシュボードにはタッチモニターが付き、最低限とはいえ、運転支援システムも実装されている。

カーナビは備わらないが、スマートフォンとのミラーリング機能を利用可能。ちゃんとスマホホルダーも用意されている。フォルクスワーゲンUp!などでも見られる割り切り方で、ちゃんと機能する。

キア・レイ(韓国仕様)
キア・レイ(韓国仕様)

短いボンネット内に収まるのは、自然吸気の1.0L 3気筒ガソリンエンジン。欧州市場では、チューニング違いの同じユニットを搭載した、キア・ピカントが販売されている。最高出力は77psで、1040kgのボディを引っ張る。

トランスミッションは4速オートマティック。パワートレインの洗練度は低いものの、速くても50km/h程度で走る場面が多いことを考えれば、強い不満は抱かないで済む。

アイドリング時のエンジンは静か。アクセルペダルを傾ければ、想像以上の勢いで加速してみせる。ソウルの中心部を走る大きなサルーンやスポーツカーと、引けを取らないペースで交通に交われる。あちこちで渋滞しているから。

4速ATのギア比は低く、加速時にキックダウンする場面は少ない。高負荷時には、かなりのノイズを響かせる。燃費は褒めにくく、今回の試乗では平均10.2km/Lに留まった。高回転域を使いがちとはいえ、改善の余地はありそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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