韓国版軽自動車は1.0L キア・レイへ試乗 英国にも欲しい 飾らない姿が魅力的

公開 : 2023.04.10 08:25

英国で入手できないことが残念な能力

0-100km/h加速の時間は非公表だが、少なくともそこには届く。英国の場合、郊外の一般道でも制限速度は97km/hだから、グレートブリテン島で遠くを目指す気にはならないかもしれない。もっぱら、低速域での快適性や運転のしやすさに重点がおかれている。

乗り心地はしなやか。ステアリングの反応はダイレクトで、予想しやすい。感触は殆ど伝わってこないけれど。シートの掛け心地は良く、製造品質も期待以上に高い。スタイリングは適度に個性的で、不快に感じる人はいないだろう。

キア・レイ(韓国仕様)
キア・レイ(韓国仕様)

右側のリアドアはスライド式で、乗り降りしやすい。ちなみに韓国は右側通行だ。生け垣や電柱が路肩にあっても、乗降性を保てる。

その能力を知るほどに、筆者は残念な気持ちになった。なぜなら、このように巧妙にデザインされたシティカーが、英国には殆ど存在しないためだ。

郊外に出ないような乗り方なら、ロンドンでもレイにこなせない場面は考えにくい。1人だけが乗った大きなSUVではなく、小さなクルマが走り回っている方が、遥かに望ましいのではないだろうか。

シトロエン・アミのようなマイクロカーを除いて、英国で販売されている最も安価な自動車は、レイより約500mm長い。それでいて車内空間や実用性は、ここまで高くない。

欧州市場は、急激にBEVへシフトしている。生産コストはまだ高く、本当に手頃な価格で小さなBEVが登場するのは、もう少し先になることは想像できる。

飾らない小さなクルマが一層魅力的に見える

キアが、欧州市場へレイを輸出する可能性は殆どない。BEV版を右ハンドル仕様へ変更するとしても、コストはばかにならない。収益性の高い大型モデルを販売した方が、メーカーとしてのメリットは大きいはず。

日本の軽自動車が、小さなボディでふたまわり大きいクルマと同等の実用性を追い求めてきたように、レイもフロアパンで許される限り、最大の空間効率を追求している。大人4名とちょっとした荷物を快適に運べる能力には、感心せざるを得ない。

キア・レイ(韓国仕様)
キア・レイ(韓国仕様)

レイを英国で購入できないことを、嘆かずにはいられない。トヨタGRカローラや、スバルWRX S4がやってこないことも残念だが。

ハッチバックのミニの長さは3800mmもある。フィアット500eは、3万ポンド(約483万円)を超える。着飾らない小さなシティカーが、一層魅力的に見える時代になってきたように思う。

キア・レイ(韓国仕様)のスペック

韓国価格:1390万ウォン(約139万円)
全長:3595mm
全幅:1595mm
全高:1700mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:−秒
燃費:10.8km/L
CO2排出量:127g/km
車両重量:1040kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:77ps
最大トルク:9.5kg-m
ギアボックス:4速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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