間髪入れない怒涛のパワー メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペへ試乗 843psのPHEV

公開 : 2023.04.11 08:25

間髪入れず怒涛のパワーが放出される

新しいパワートレインを得たGT 4ドアクーペだが、車内は2018年の雰囲気を残す。最新のメルセデス・ベンツのように、巨大なインフォテインメント用モニターは鎮座していない。

センターコンソールには実際に押せる物理スイッチが数多くあり、インフォテインメント・システム用のトラックパッドも残っている。改めて見ると、少々視覚的には賑やかかもしれない。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)

ステアリングホイールは、ダブルスポークの新デザインのものを獲得した。ドライブモードを選ぶロータリースイッチも備わる。複数あるモードには、PHEVらしくエレクトリック・モードも用意されている。

今回の試乗は、駆動用バッテリーが殆ど空の状態でスタートした。1時間ほど運転させていただいたが、残念ながら駆動用モーターだけでの印象は、充分に確かめられなかった。少なくとも、発進がシームレスだということはお伝えできる。

ケーブルをつないで充電しなくても、63 S Eパフォーマンスは減速時に回生ブレーキが効き、ある程度の充電がまかなわれる。そこで得た電気は、アクセルレスポンスを鋭くするために展開される。

実際、駆動用モーターのアシストは素晴らしい。シフトパドルでギアを落としたり、ターボブーストが高まるのを待つ必要はない。ツインターボで過給されるV8エンジンは、ターボラグが大きいわけではないが、間髪入れず怒涛のパワーが放出される。

アクセルペダルを緩めると、ゴロゴロ、パラパラと、アフターファイヤーのノイズも放たれる。そのさなか、駆動用モーターが単独で仕事をこなす場面もある。

流暢で惹き込まれるような感覚は僅かに薄い

乗り心地や操縦性も素晴らしい。市街地とカーブが続く郊外を両方こなせる、絶妙なブレンドとバランスにある。確かに、AMG仕様のCLSEクラスとは別の水準の硬さがあるが、AMG独自のGT 4ドアクーペには妥当な設定といえるだろう。

ただし、しばらく運転してみて、最高の仕上がりにまでは届いていないな、という印象も伴った。V8ツインターボだけで走るGT 4ドアクーペ 63 Sは、以前の試乗テストでベストといえる高評価を得ている。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)

PHEV版の63 S Eパフォーマンスは、その時に感銘を受けた乗り心地や操縦性に迫れていない。流暢で惹き込まれるような感覚が、僅かに薄いように思う。

63 Sの方が明確に遅いわけでもないし、瞬間的に弾けるパワーは伴わないとしても、挙動はより自然で予想しやすかった。ドライバーズカーとして、同等以上の訴求力を備えている。

とはいえ、63 S Eパフォーマンスの動力性能はセンセーショナルなほど見事。荷室は限られるとしても、短距離ながら、電気だけで走れる能力も評価できる。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)

英国価格:17万7715ポンド(約2861万円)
全長:5054mm
全幅:1871mm
全高:1455mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:12.7km/L
CO2排出量:180g/km
車両重量:2494kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:6.1kWh
最高出力:843ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:9速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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