ルノー・トゥインゴ vs フォルクスワーゲンUp!
公開 : 2014.09.25 23:50 更新 : 2017.05.29 19:33
唯一溺愛できない部分があるとしたら、Up!はあまり堂々としていない点かもしれない。あるいは、小型車なんだから堂々としていなくたっていいじゃないか!手厳しいぞ! という声が聞こえてきそうだけれど、筆者が言いたいのは、ハッキリ言って ’ゴルフ負け’ しているということだ。あくまでフォルクスワーゲンの中核を担うのはゴルフ。言い換えれば、ゴルフより立派になってはいけないという暗黙のルールがUp!の至るとことから感じられるのだ。
ゴルフなぞ構うもんか、という勢いで作られたUp!を見てみたい、と言うのが(無理かもしれないけれど)筆者の本音だ。
対するトゥインゴは大きなインフォテイメント・スクリーンをセンターパネルに鎮座させることにより、デジタル機器によるアピールに力を入れている。またカラー・コーディネートなど若者を惹きつけるギミックは素晴らしい。ただしエルゴノミクスは要改善点。トリッキーな小物入れを増やすくらいなら、筆者としてはレブカウンターをつけて欲しいと思った。
しかし2台を並べてみた時に、駆動方式の違いやエンジン・マウントの位置を知覚することは難しい。両方ともにボンネットは短く、キャビンは大きい。そして5枚のドアを持ったモダンなハッチバックと言うところはほとんど同じだと言ってもいい。ただ筆者の主観でいくと、トゥインゴの方がエッジの処理が美しく、ボディ表面のカーブもUp!よりも、よく考えているという印象をもった。
少なくともUp!は、トランクに丸みを帯びさせることによって荷室を稼ぐなどといった手段は用いていないようだ。
キャビンの広さは前後共に同程度。ほんのわずかな違いはあるかも知れなが、居住空間に関してはほとんど変わりがないと言っていい。
4人の大人が乗り込めば、窮屈なわけでも広すぎるわけでもなく、ちょうどピッタリと言った表現が的確。Up!のトランクは深く短く、トゥインゴは浅く長い形を採っている。Up!に関しては額面上の数値ほど広さを感じない。
サスペンションの方式も両者同様。フロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーションビームとなっている。またエンジンも3気筒エンジンと同じだ。ちなみにテスト車両の場合、Up!はNAの1.0ℓ75ps、トゥインゴはターボの力を借りて0.9ℓエンジンが89psを発生する。
ランニングコストもほとんど同じで、燃費はUp!が21.3km/ℓ、トゥインゴが23.3km/ℓ。CO2排出量は前者が106g/km、後者が99g/km(ただしこのわずかな差のお陰でトゥインゴは英国では税金免除)。車重はUp!の方が15kg軽い。
イグニッションをオンにした際のエンジン音はほとんど同じであるが、エンジンのマウント位置の関係で、トゥインゴは後方から聞こえてくる音がやや大きめ。エンジンの回転マナーも(3000rpmあたりで強情なるところまで)かなり似通っている。