フランス大統領御用達 DSオートモビル DS 7 Eテンス225へ試乗 コーナリングも意外に得意

公開 : 2023.04.12 08:25

フランスの上級ブランド、DSの中型SUVが小変更。225馬力のスポーティなPHEVを、英国編集部が評価しました。

システム総合225psと36.7kg-mのPHEV

ホイールベースは異なるが、フランス大統領の移動手段にもなっているのが、今回ご紹介するDSオートモビルのDS 7だ。2023年度版としてアップデートを受けた最新版が、グレートブリテン島にもやってきた。

英国価格は約3万6000ポンド(約579万円)からの設定ながら、最上級グレードでは6万ポンド(約966万円)を超える。VIPのおクルマとして、相応しい価格といえる。

DSオートモビル DS 7 Eテンス225 パフォーマンス・ライン(英国仕様)
DSオートモビル DS 7 Eテンス225 パフォーマンス・ライン(英国仕様)

1番お高いのが、トップグレードとなるEテンス 4x4 360。四輪駆動のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)で、好評価なプジョー508 PSEと基本的には同じパワートレインを搭載している。最高出力は360psもある。

一方で、最も手に届きやすいDS 7が、ブルーHDi 130と呼ばれる前輪駆動。1.5Lディーゼル・ターボエンジンを搭載し、0-100km/h加速は10.7秒と凡庸ながら、優秀な燃費でオーナーを満足させてくれる。

これに、インテリアが充分豪華に仕立てられる「リヴォリ」トリムグレードを組み合わせても、4万ポンド(約644万円)を切る。ゆとりのある車内空間を高効率なパワートレインが引っ張り、高速道路を優雅に流せるだろう。

今回筆者が試乗したのは、その中間に位置するPHEVのEテンス225。ガソリンエンジンと駆動用モーターが組み合わさり、システム総合で225psと36.7kg-mを発揮し、前輪を駆動する。トランスミッションは8速オートマティックだ。

スムーズでクリーンな加速 カーブも意外に得意

実際のところ、このパワートレインはさほど魅力的とはいえないだろう。とはいえBMWのPHEVも、低出力の場合はさほど楽しさを感じさせるものではない。DS 7だけの課題とはいえない。

エネルギー効率は悪くない。日常的な環境で中間加速を求めれば、駆動用モーターが加勢し、スムーズでクリーンにスピードを高めていく。反応も良好だ。

DSオートモビル DS 7 Eテンス225 パフォーマンス・ライン(英国仕様)
DSオートモビル DS 7 Eテンス225 パフォーマンス・ライン(英国仕様)

アクセルペダルを踏み込み、すべてのエネルギーを召喚すれば追い越しは朝飯前。トランスミッションの仕事ぶりも好ましい。

ただし、リアアクスル側にも駆動用モーターを搭載する、1つ上のEテンス300の方が活発なことは事実。トップグレードのEテンス360なら、このクラスでは確実に俊足だといっていい。

2023年仕様のアップデートでは、駆動用バッテリーの容量が大きくなっており、Eテンス225は電気の力だけで走れる距離が伸びている。最長69kmがうたわれ、ハイブリッド・モードで優しくアクセルペダルを傾けると、電気自動車のように走ってくれる。

フランス生まれのモデルらしく、コーナリングも意外に得意なことへ驚く。英国郊外の道をハイスピードに処理することが専門ではないにしろ、シャープにフロントノーズは向きを変え、リアアクスルは路面を確実に掴んでくれる。

1760kgの車重を持つSUVでありながら、期待以上にドライバーへ応えてくれる。車重が嵩むEテンス300は、Eテンス225ほどの機敏さはない。楽しさでいえば、前輪駆動の方が勝るようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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